Rp:3 薬局の収入源 その2

調剤報酬は大きく2つに分類される。

・一度届けを出せば要件を満たしている限り算定できるものと、

・その都度要件を満たした段階で算定できるものだ。


処方に疑義があり疑義後変更があった際に算定出来る「重複投薬・相互作用等防止加算」は後者にあたる。

後者の算定に関しては日々勉強しアンテナを貼り続けなければ算定することが難しいものと言える。

それに対して前者は「後発医薬品調剤体制加算」、「地域支援体制加算」などがある。

これは要件を満たして届け出をしていれば処方箋を受け付けるたびに算定できる。

現代の薬局運営でより後発医薬品調剤体制加算を算定するために後発率を上げていくことは必須といっても過言ではない。


後発医薬品とは、いわゆる「ジェネリック医薬品」と言われるものだ。

ジェネリック医薬品とは先発医薬品の特許が切れた後に他の製薬企業が製造・販売できる薬で、よく薬剤師が説明する言葉でいえば、

「昔ながらの薬と同じ成分で、値段がやすい薬です」というものだ。

それに対し先発医薬品はロキソニン、ガスター、アレグラといったよく耳にする薬にあたる。


僕たち国民は皆保険制度のお陰で高くても3割の負担で処方薬を購入できている。

では残りの7割はどこから賄っているのか?

ズバリ国だ。

医療費の増大に苦しんでいる国は少しでも医療費を下げるためにジェネリック医薬品という制度を導入したのだ。

では、なぜ薬剤師がジェネリック医薬品を患者に進める必要があるのか?

「安い薬を取り揃えている薬局には優遇する制度」があるからだ。


「ホーム薬局では今までジェネリック医薬品の在庫はもちろん変更調剤に伴う説明もしてこなかったと思いますが、今後はしっかりしていこうと思います。」


僕はスタッフが全員揃ったところで当面の方針を伝えた。


「ジェネリック医薬品は澤井製薬や東和医薬品がCMも打っているくらい有名ですけど、うちの薬局でも揃えるんですか?」

「国として医療費削減の方針を掲げていて体制率を上げれば加算も算定出来ますので、まずは一通り在庫を揃えて、順次患者さんに説明していこうと思います。」

「私はジェネリックは嫌ですね。パチモンですよね?自分が患者だったらそんな薬飲みたくないです。」


彼女は事務員さんで、中川さんといった。


「中川さんはジェネリック医薬品に対してあまり良いイメージを持たないんだね。それはなぜか教えてもらえるかな?」

「谷口先生が言っていましたよ。ジェネリックは効かない、パチモンだって。」

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