VR・FPSで野生のプロに鍛えられた僕、最強クラスの実力に気づかないまま、姉妹VTuberに招待されて大会に出場することになりました。リアル世界でメスガキと美人お姉さんに翻弄されながら優勝めざします
第37話 第一ラウンド終了。僕個人は1位になるが、チームは負けてしまう
第37話 第一ラウンド終了。僕個人は1位になるが、チームは負けてしまう
僕は方向を変え、ジェシカさんの元に向かう。
「ほら。アリサ。Sinさんに操作設定を教えて」
「うん」
さて、得点を見たら8対15で負けてる。
味方は僕とアリサが最初に敵を倒した得点しか入ってない。
いつの間にか拠点を3つとも制圧されているから、時間が経過するごとに敵にポイントが入る。
「お互いに初心者ばかりなのに、敵の方が上手ですね……」
「あー。アスリートチームは事前に練習してきていると思う。配信者チームの方は、ちょっとしたトラブルで、急遽メンバーの入れ替えがあったから……」
「そういうことですか。たしかに、僕も昨日いきなりメッセージで招待されたし……」
「迷惑かけて悪い。けど、今自由に動けるのはカズ、お前だけだ。頼む」
「了解。じゃあ、僕、バギーで拠点Cを獲ってきます。Sinさんとアリサは、操作設定をいい感じにしておいて」
「ああ」
「あ。お兄ちゃん、待って!」
「ん?」
僕がバギーにC4爆弾を設置していたら、アリサが駆けよってきた。いったいなんだろう。
「乗って、乗って」
「うん」
言われるまでもなく、拠点Cに向かう道は広めだから、もともとバギーで移動するつもりだ。
「乗ったよ」
「こっち見てて……。ケツ洗車~」
「?」
アリサが前屈みになってお尻を振り始めた。
僕は運転席に座っているから、ちょうどお尻が視界のどまん前にくる。
「ごしごし、ごしごし。汚れた窓を綺麗にするね」
「バギーに窓はないんだけど」
「それじゃあ、お兄ちゃんの顔をごしごし、ごしごし」
「……」
煽られてる?
僕はハンドガンを構え、アリサのケツに弾を撃ちこんだ。
「痛いッ! 酷い! お尻の穴が増えたらどうするの!」
抗議され続けるが、バギーを発車させると、あっと言う間に聞こえなくなった。
両手のコントローラーをゲーム画面のハンドルの位置に重ねて、グリップボタンを押しながら手前に捻る。実際にハンドルを握っているかのように手を動かして操作する。
舗装されていない道路を走るから車体は大きく跳ね、画面が揺れる。
立ったままのプレイは初めてだけど、僕は乗り物の操作は得意だから、一度も木にぶつかることなく、拠点Cに接近。
はー。楽だ。リアルで走らなくてもいいから楽だったー。
拠点Cは穴を掘った中に何か可燃物を入れて作ったらしき焚き火がいくつも有り、視界が確保しやすい。
パッと見、敵はいない。
せっかく、C4バギーをぶつけて起爆して敵を倒そうと思ったのに……。
僕は敵側通路にバギーを放置して、拠点中央にある縦穴へ向かう。
マップを見る限り、穴の先は地下通路になっていて、拠点AやBのコテージの地下室へと繫がっているっぽい。
ここから敵がやってくる可能性もあるから、警戒は怠れない。
拠点制圧ゲージがゆっくり溜まっていく。
敵チームは、B、C、Aの順に拠点を制圧していったから、僕の予想が正しければ、敵プレイヤーの多くは拠点Aにいるはず。今、急いで拠点Cに向かってきているところだろう。
「来た……。ソ連軍拠点側からふたり! 喰らえッ!」
敵プレイヤーがバギーの近くにさしかかったところで、C4爆弾を起爆。
バギーが派手に爆発し、敵を巻きこむ。
ひとり倒した。
残ったひとりも重傷だろう。
爆煙で敵の姿が見えにくいが、アサルトライフルを連射し、生き残りを始末。
さらに拠点の制圧が完了。
その後は拠点を獲ったり、獲られたりの繰り返し。
敵も味方も、拠点を護るという発想はないらしく、常に敵拠点の奪回を試みていた。
僕とアリサが拠点Aを奪取してから防衛に専念してみたんだけど、そうしたら、味方の攻撃力が下がってしまったらしく、拠点BとCが敵の手に落ちたまま。
事前の練習量の差が出てしまったらしく、スポーツ選手チーム優勢のまま第1ラウンドは終わった。
結果は72対100で敗北。
ラウンド終了後の成績画面を見ると、色々分かる。
個人成績では、なんと僕が9800点で1位。
2位のアリサが6400点。
この点差は僕が拠点制圧を担当していたことや、アリサがジェシカさんに操作設定の変更をレクチャーしていたことが影響しているだろう。
僕のキルデスは、24:5。
24人倒して、5回死んだ。相手がFPS初心者だったとはいえ、凄くない?
まあ、アリサは32キル2デスとかいう、狂った成績を出しているんだけどね。
成績3位は味方のGameEvent01が3400点。
誰かは分からないけど、13キル6デスという、かなりいい成績。
配信者らしいし、FPS経験者かも。
他は似たような得点ばかり。1000点前後で、1キル5デスくらい。
ジェシカさんは、4キル4デス。
本当はアリサと同じくらい上手いんだけど、配信でゲームや周辺機器をレビューする必要があったし、さらに操作設定に苦しんでいたから、成績は伸びなかったようだ。
しかし、操作設定を変更したから、これから大活躍してくれるに違いない。
第1ラウンドは落としたけど、第2ラウンド、頑張るぞ。
僕、アリサ、ジェシカさんの3人がいれば、勝てるはず!
◆ あとがき
冬休みの間は、2~3回更新する予定ですのです、よろしくお願いします。
感想、コメント、ポイント評価なんかも、うれしいよ!
短文でいいから何か書いていって!
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