VR・FPSで野生のプロに鍛えられた僕、最強クラスの実力に気づかないまま、姉妹VTuberに招待されて大会に出場することになりました。リアル世界でメスガキと美人お姉さんに翻弄されながら優勝めざします
第35話 アリサが煽り行為『おいなりさん』をしてきた。
第35話 アリサが煽り行為『おいなりさん』をしてきた。
「あはっ! あははははっ! ねえ、ナイフで3連続キルしたよ! 脳汁ヤバい。いひひひひっ! いひひひひっ!」
周囲に声が聞こえる設定だから、このクソガキ絶叫は敵にも聞こえているはずだ。
あ、いや、味方がマシンガンを乱射しているから、その音で聞こえない?
ゲーム会場は観客がいるらしいし、うるさくて音声が聞こえない?
理由は分からないけど、敵は結局、最後までアリサに気づかなかった。
「4キル! 5キル! 6キル! ヤバい! カズ見てた?! ナイフキル6連続! こ、ここ、こんなの、初めてッ。すごいッ……!」
ダウン中で視界が固定されているから、途中から見えなかったよ……。
アリサが僕のところに駆けよってきて、見下ろしてくる。
頭の上に立たれたから、白いパンツが見える。
コラボ衣装はパンツのCGも作ってあるんだ……。
……うわっ?!
いきなりパンツがアップになった。
かと思ったら、パンツが離れていく。
いや、再びパンツがアップになった。
何度もパンツが近づいたり離れたりを繰り返す。
まさか、屈伸してる?
これは、FPS伝統の『おいなりさん』と呼ばれる煽り行為だ。倒した敵の顔の上で立ったりしゃがんだりを繰り返すことによって、相手に屈辱を与えるのだ。
股間にぶら下がっている物を相手の顔にくっつけることから『おいなりさん』と呼ばれている。
「ナイフ使ってる間、気づかれたらどうしようってすっごくハラハラした! 全員斬って、すっごい興奮した! 脳汁とまんない! いひひひひっ!」
ねえ、パンツ見えてるから、それ、女キャラでやったら駄目でしょ?!
屈強な兵士のときにやって!
僕の画面が配信されてたら大惨事だよ?!
あ、いや、男のときもやったら駄目。煽り駄目、絶対。
「アリサもう8キルだよ。カズはなんキルしたの? カズ? あれ? どこ? あ~。声が聞こえないと思ったら、こんなところに倒れていた~」
ぐぎぎぎ……!
「ねえ、妹のパンツ覗いてどんな気分? ねえねえ? アリサのパンツ可愛い? 妹のパンツを見ている暇があったら敵を撃ったら? あっ。立てないんだった。ごめんね。ざ~こ!」
アリサがケツを振っている。なんで味方から煽られないといけないんだ。
くそがぁ……!
スキル使用可能ルールのゲームだったら『最後の一撃』――ダウンした状態でもハンドガンを撃てる――を装備して、テメエのケツの穴を増やしてやる……!
おっと、いけない。ジェシカさんの影響で発想が汚くなってしまった。
結局僕は誰からも蘇生されずに、死亡した。
こんなんだったら『おいなりさん』される前に、自分でリタイアを選択しておけばよかった……!
制圧済みの拠点からは再出撃が可能になるため、僕はアサルトライフルを装備し、拠点Bを選ぶ。
アリサが待ってくれていたので合流する。
「……お待たせ」
「おーそーい! 魔女になっちゃったよ。ほら」
……魔女?
ライフルを跨いでいたアリサが、ぴょんっとジャンプして、膝を曲げた。
「スクショターイム! ね。撮れた?」
あ。これ、配信用の言葉だ。チャンネル切り替えミスってる?
分かんないけど、返事しない方がいいな。
なるほど。たしかに空中にいる一瞬だけなら魔女っぽく見える……かも?
「もういっかい、行くよ。スクショターイム!」
ふと、実際のアリサはどうやって操作しているのだろうと気になった。
僕はゴーグルを額の方に少しだけずらし、右隣にいるアリサを見てみた。
アリサは兵士と同じように、ライフル型のコントローラーを跨いで跳びはねていた。
すっご。最新のVRゲームってここまでリアルとゲームがシンクロできるんだ……。
なんとなく、僕は首を回し、左隣のジェシカさんを確認する。
いつか何かで見た軍人の写真みたいに、ライフルを格好良く構えている。
銃と身体が一体化しているというか、身体と銃に隙間がないことが、全身タイツだからよく分かる。歴戦の猛者感がある。
ゲーム内でもきっと活躍しているんだろうなあ……と思いながら、僕はゴーグルを装着。
すると、僕のすぐ横で、ミニスカ将校がくるくる横回転していた。
「……Sinさん何やってんですか……」
「銃を構えて狙おうとすると、画面が横回転し始めるんだよ。設定ミスったかな。配信の設定ばかり気にしていて、ゲーム設定を確認するの忘れてたぜー」
「画面が横回転? ここまでは歩いてこれたんだし……。スティックで体の向きが変わる設定っぽい? ねえ、アリサ。シンさんに操作設定を教えてくれない? 多分、どこかが違う」
「ん、分かった……。あーっ!」
アリサの操作する兵士が爆発。
周囲が炎に包まれる。
再出撃してきた敵の対戦車ロケットランチャーに撃たれたようだ。
僕達がいつまでも拠点Bに居残って会話していたから、いい標的だったらしい。
「ご、ごめん……」
謝ったけど、聞こえなかっただろうなあ。
僕も爆発に巻きこまれてダウンしたから、ゲーム内では声が出てなかったはず……。
回転中のジェシカさんも撃たれて死んだ。
敵が拠点Bの制圧を開始した。
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