第6話

やけに青白く、浮かび上がるような肌が特徴的な人だった。



しかもなぜか、着物の懐からは亀が覗いている。



冗談でもなく、ぬいぐるみでもなく、生きている緑亀だ。



ちょこんと彼の懐から顔を出し、まるで犬のように大人しく撫でられている。



え?亀ってあんなんだったっけ?

え??あれ?



特別この緑亀がかしこいだけ?

そうなの?



あたしが目をパチクリとさせながら困惑している中、



足を組み、吟味するかのごとく、舐め回すように見られて、



線の細いその人はやけに低音なのに耳障りのいい艶のある声で質問してきた。

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