プロローグ
西暦にして3025年2月3日。科学が多くの人類の問題の解決を宇宙に見出した世界にて。
太陽系より約25光年離れた太陽系外惑星フォーマルハウトの外縁に併設された、大規模な人工戦場エインヘリアルに、幻想上でしかありえない非科学的物体である“ドラゴン”が突如現れた。
その姿は光で出来た巨大な、まさに空想上のドラゴンそのものであり、天の果てを突くかの様な巨大な角に、大型のトカゲを思わせる頭部の形、長く太い首。その巨体を覆って余りある大きさの蝙蝠のような翼。見るからに強靭な尻尾。鋭い鉤爪の揃った五本指の手足。太い後ろ足で立ち上がる姿はまるで人間のようでもあった。あるいは、遥か千年前に捨てた太陽系第三惑星に語られる黙示の竜を思った者もいるかもしれない。
そうしてフォーマルハウトが四散し、スーパーノヴァを起こした際に発生した衝撃波により、爆心地からおよそ十光年の範囲にあるすべての物が粉砕された。エインヘリアルでの戦争は、銀河連邦の裕福な市民の娯楽であったため、周囲には間近で“試合”を視ようとしていた多くの観客、大型の宇宙船舶が複数滞在していた。だが、飛散したフォーマルハウトの残骸、ガンマ線、熱エネルギー、直後に発生したブラックホールにより宇宙船舶は全壊。乗員乗客の99%以上が死亡したと言われている。
現実的にありえない“ドラゴン”の存在が何故現れたのか、様々な憶測が飛び、複数の見解が意見され、一つの仮説が、非現実的なオカルトのごとき噂が、科学がすべてを支配した世界に流れ始めた。
―― あれはクローン兵の一体が、非科学的現象……“魔法”を使って転じたのだ。あれは“フォーマルハウトの
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