#14「滅亡の貯水」B

 三人はアリツフォンにアリツチップを挿し込む。


[Weapon In]

[Defence In]

[Vehicle In]


電子音声の後に待機音が鳴る。


「「「武着装!」」」


掛け声を言って、CERTIFICATIONの文字をタップした。


[CERTIFICATION. In Charge of Weapons.]

[CERTIFICATION. In Charge of Defence.]

[CERTIFICATION. In Charge of Vehicles.]


再び電子音声が聞こえた瞬間、三人の周りに光が纏い、ウェッパー、シーリア、ビークラーに武着装した。


「お前達が超戦士か。しかし俺は今は手が出せん。ゴリーク!」


 大量のゴリークが現れる。三人はアリツソードを出し、ゴリークに立ち向かった。

 三人は次々にゴリーク達を斬り倒していくのだが、数があまり減らないどころか、よだれを垂らしたゴリークを斬ってゴリークが爆発して吹っ飛ばされてウォスレカテラスがいる場所から離れていってしまった。


「さて、ダムの水は頂いたし退散するか」


 三人はゴリークを全て倒したが、ウォスレカテラスの姿はなかった。


「逃げられてしまった...」


「み、水が無くなってる...」


 水が無い状態のダムを見た三人は驚愕した。このまま放っておくとその内に水が無くなってしまうと三人は思った。しかし今はもう反応は無い。三人はダムを後にし、屋敷に戻る事にした。


 屋敷に戻った由人達は由人の部屋に集まる。


「やばいな...水が無くなったら」


「四日ぐらい水を飲まないと、人って死んじゃうって聞いた事あるよ...」


「そ、そんな...このまま水を吸っていってしまったら、みんな死んじゃいます!早く止めないと!」


「待った。何処にいるのかも分からないのに探した所で無駄に体力を使うだけだよ。」


 愛剥路はこの状況に焦りを隠せずにいた。


 しばらくするとアリツフォンから再び警告音が鳴る。


「こ、今度こそ、止めます!」


 三人は再び現場に向かった。


「ちょっと!アタシは!?」



 今度の現場は海だった。以前来た事のある海だった。現場に到着したがカテラスの姿は見えなかった。


「どうやらアリツフォン見ると、海中にいるみたいだな」


 すると海中からウォスレカテラスが飛び出してきた。


「今は海水を吸い上げている最中だ。邪魔をするな!」


 ウォスレカテラスは背中のポンプからチューブを通って左手から水を放出し、愛剥路と防子は由人の前に立って二人は水浸しになった。


「二人共、どうして...?」


「由ちゃんに掛かったら大変だもん」


「風邪を引いてしまいますから...」


「何言ってるんだ!僕より自分の事を大事にしてよ!」


「愛剥路さん。私、服出せますから着替えて来ましょう。」


「ふ、服も出せるんですか!?分かりました!」


 二人は岩陰に向かって行った。


「お前の相手は僕だ。」


「一人で俺に挑む気か。」


「挑んできたのはそっちだ。」


 由人はアリツフォンにアリツチップを挿し込む。


[Weapon In]


[CERTIFICATION. In Charge of Weapons.]


待機音を聞かせる暇もないくらいに画面をタップして武着装を完了させて、由人はアリツウェッパーに武着装した。


「僕に挑む奴は全て返り討ちだ!」


 ウォスレカテラスは水を今度は水圧を上げて放出した。さっきとは違って水弾のようになっており、当たったら痛みを感じる。

 ウエッパーはアリツフォンからアリツガンを取り出した。ウォスレカテラスは再び水弾を放出し、その水弾を目掛けて撃ち、相殺された。

 次々と相殺して近くに接近したウエッパーは再度アリツフォンを取り出し、アリツアックスを出現させ、ウォスレカテラスに付いているチューブを掻っ捌いた。


「これでもう水を吸い取る事も出す事も不可能になった。」



 その間に岩陰に隠れた防子と愛剥路は着替えをしていた。


「下着まで濡れちゃいました...」


「じゃあいま出すね。」


 防子はアリツフォンを取り出し、アリツTシャツ、アリツショートパンツ、アリツブラジャー、アリツパンティーを出現させた。


「す、すごいですね...衣類まで出せちゃうなんて。」


「すごいよね。...よくこんなの考えたよね由ちゃん。」


 岩陰から覗くと、武着装した由人はカテラスに有利になっている様子だった。


「由君強い!一人であんなに...!」


「やる時はやる人だよ。由ちゃんは。さて着替えも済んだし、私達も行こう!」


「はい!防子ちゃん!」


 防子と愛剥路は武着装して由人の元に向かった。

 ウォスレカテラスは潜水艦を使って海水を吸い込んでいると言って、水中に潜っていった。


「愛剥路、アリツフォン貸して。」


「え?わ、分かりました。」


 ウエッパーはビークラーのアリツフォンを拝借して操作する。

 そこにアリツサブマリンの文字を発見してタップする。海の方向に向けてもう一度タップすると、海にアリツサブマリンが出現した。


「これで、敵の潜水艦に攻撃する。」


「で、でも潜水艦の操縦なんてした事ありません!」


「大丈夫。音声操縦ボイスコントロールに出来るから。」


 三人は中に入り、操縦席にビークラーのアリツフォンを嵌めて、音声操縦に切り替えた。


「海中に潜伏!」


 アリツサブマリンは由人の指示通り、海中に潜った。


「そのまま直進!」


「ほ、本当に声で操縦出来るんですね...」


「ちなみにアリツバイクも一応音声操縦出来るよ。」


「そうなんだ...由ちゃんそれで運転すれば?」


「いや、でもちゃんと運転したいし、音声だけでバイクが動いたら、なんか怖いし...」


 すると敵の潜水艦を発見した。


「よし、あの潜水艦に向けて魚雷発射!」


 そして敵の潜水艦に向かって魚雷が発射された。


「な、何だ!?船が沈んでいく!?」


 潜水艦は海に沈んでいき、爆発した。


「よし浮上して海岸に戻れ!」


 ウォスレカテラスは爆発に巻き込まれた。三人はサブマリンから出て、水中を探索した。

 いつもならカテラスは倒したら人間に戻る。

 だが、今回は水中で倒してしまったので、人間に戻っていたら水中では死んでしまうだろう。今回は爆発も起こっているのだから尚更だ。

 三人はくまなく探索したが、人間態を見つける事は出来なかった。

 アリツサブマリンを浮上させて三人は地上に戻り、アリツサブマリンを消滅させた。

 由人達は罪悪感がありながらも仕方のない事だと思い、屋敷に戻ったのだった。


 一日が経ちガレージに行くと愛剥路の姿があり、その姿は昨日の防子が出した服装の姿のままだった。


「愛剥路、まだその服着てたの?」


「はい、防子ちゃんから貰ったものなので。」


「嬉しいのは分かったけど、そろそろ着替えた方がいいよ?」


「ふぇ?」


 すると着ていた服が消滅して、愛剥路は下着姿になってしまった。


「きゃ!服が消えて//」


「遅かった...」


「な、何で服が消えて...//」


「アリツフォンから出した物は、一日経つと自動的に消滅するんだ。」


「そ、そうだったんですか...//」


「ええっと...着替えてきたら?」


「は、はい...//」


 愛剥路はガレージを離れ、着替えに行ったのだった。

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