#12「超戦士集結!」A

 一つのアリツフォンを渡し、無事に新たな超戦士を誕生させる事が出来た。

 もう一人の超戦士も早く誕生させないといけないかな。さてその渡す相手というのは...


「何だ由人?話って?」


「雷男に渡したい物があって」


 僕は雷男に灰色のアリツフォンを渡した。雷男はきょとんとした表情をした。

 俺が?とでも言いたげな様子で僕の事を見つめていた。僕の専属執事をしているから、必然的に僕の近くにいる事になるから適任として選んだ。


「他にもいたんじゃないのか?愛剥路さんとか」


「あっ、言うの忘れてた。愛剥路さんはもうさせたよ。」


「い、いつの間に!?」


「頼むよ雷男。雷男だってカテラスの悪行は許せないだろ?」


「そういえば俺カテラスって見た事ないんだよな。」


 そういえば雷男はカテラスを見た事なかったな...よく考えたら今まで現場で渡してたから、今回は屋敷内で渡してしまった。急ぎすぎてしまったかな...


「そういえば、博士にまた会いたいって言ってたよね?これで雷男も超戦士になったし、せっかくだから博士に紹介がてらこれから開発室に行かない?」


「いいのか!?よっしゃ!じゃあ今すぐ行こうぜ!」


「あっ、でもどうせなら防子と愛剥路も連れて行こうかな?まだ防子は手が空いてないみたいだからちょっと待ってようか。」


「そうか、どうせならメンバー全員で行った方がいいよな!」


 今は午前九時、僕はその間皿洗いや草むしり等の手伝いをする事にした。

 炎天下の最中の屋外の作業は体内から汗がダラダラと流れように出てくる。

 雷男が防子に研究室の事について話してくれたみたいで、午後になったら僕に付いてくれるとの事なので、昼食を食べてから出発する事にした。

 手伝いをひと段落つけた僕は屋敷のガレージに行って、愛剥路に研究所の件を伝えると喜んで承諾してくれた。

 そして正午になり、僕の部屋で昼食を食べる時間になった。

 今日はせっかくなので愛剥路も一緒に僕の部屋で食べる事になった。

 愛剥路はさすがにライダースーツではなくよそ行き用の服でやって来た。

 防子と雷男の二人も同じようによそ行きの服に着替えてやって来たそりゃそうだよね。

 こうやって四人でテーブルを囲んで食事をするのは初めてなので、何だか気持ちが昂ってしまう。

 今日の昼食はロールパンとシチューだ。テーブルにはバスケットに入ったロールパンと防子がお皿に盛り付けたシチューが一人一人に配膳される。


「それじゃあいただきます!それにしてもシチューに付けて食べるパンってうまいよな〜!」


「そうだよね。僕も好きだな。」


「由人様。今日は昼食に誘ってくれてありがとうございます。」


「愛剥路、そろそろ様付けにするのやめない?もう同じ超戦士の仲間なんだからさ」


「そ、それではなんとお呼びすれば...」


「あっ、それじゃあ私が由ちゃんって呼ぶように、愛剥路さんは由君って呼ぶのはどうですか?」


「よ、由君ですか!?な、何だか恥ずかしいですね//」


「それじゃあ試しに呼んでみて下さい!さあ!」


 防子の念と圧に押されて僕の事をよ、由君...と呼ぶ愛剥路。

 そう言った後の愛剥路の顔は頬が真っ赤になっており両手で顔を隠してしまった。

 僕と愛剥路の仲が良い事に防子は嬉しそうな様子だった。と同時にその様子を見て茶化してくる雷男。なんて楽しい空間なのだろう。

 以前のような一人での生活ではありえなかっただろう。こんなに幸せな事を味わえるなんて、僕があの日に恥ずかしい物を書いていなかったら。

 そしてそれが博士に拾われなかったら。一つ一つの積み重ねがこの空間を作ってくれた。博士には改めて感謝しなくちゃ。


「どうした由人?何か良い事でもあったか?」


「そうだね...今この時...かな」


「何だよそれ?」


「ま、まぁ、それはいいとして!それじゃあそろそろ昼食を終わらせて博士の所に行こうか!」


「うん!」

「おう!」

「は、はい!」


 昼食を食べ終えた僕達は一旦ガレージ向かった。すると愛剥路からの提案でアリツバイクに乗って開発室に向かう事になってしまった。

 アリツバイクはビークラーからの共有装備になっているので、僕以外の三人はそれぞれアリツバイクを出現させた。


「あれ?防子ってバイクも運転出来たの?」


「普段は車を使う事が多いけど、一応バイクも運転する事は出来ますよ。」


「雷男も?」


「そりゃあ、俺は自前のバイクだって持ってるからな!それで休みの日はツーリングに行ったりするんだぜ!ちなみに車も運転出来るぞ。」


「まいったな...運転免許持ってないの僕だけじゃないか...しょうがない。防子乗せてくれ。」


「私、バイクはあんまり自信ないんですよね...」


「そうなのか?じゃあバイクに乗らない方が...」


「でもこうやって出現させるように出来る事になったから、今後の事も考えて慣らしていこうかなって思ってるよ。」


「じゃあ、私と一緒に乗っていきましょう由君!」


「あ、うん...」


 僕はヘルメットを被り、いつものように愛剥路の後ろに乗って開発室に向かう事になった。

 今後の戦いに、そしてこのシステムの考案車として、僕はとりあえずバイクの免許を取る事を決意した。...その内に。

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