#11「二輪と四輪」A

 僕は博士の開発室に行き、二台のアリツフォンを受け取った。防子も拳也君と談笑していて打ち解けていて安心を覚える。

 そのアリツフォンは一つは橙色で、もう一つは灰色をしている。

 これからもっと幅をきかせるために僕が考えた物だ。博士には渡す人はいるのかと言われたが、もう誰に渡すのかは自分の中で決めている。

 しかしそれはこれからの戦いにやむなく巻き込んでという事だ。

 罪悪感を感じてしまうが、二人ならやってくれるという信頼感があると僕の中ではあった。

 受け取った僕はすぐに屋敷に戻った。相変わらず防子に送ってもらっている自分の現状に情けなく思える。そろそろ僕も運転免許取ろうかな...。


 屋敷に帰って来て自分の部屋に戻ると留守番を頼んでいた雷男が話しかけてくる。


「由人に防子ちゃん!戻って来たか!どこ行ってたんだ?」


「博士の所にね。」


「あのママさん博士の所か!いや〜あの人けっこう面白い所があるよな〜今度行く時は俺も連れて行けよな!」


「ああ、うん。その内ね。」


 雷男は別の仕事があると言って部屋から出て行った。

 防子も同様に別の仕事があると言って部屋を出ていく。

 今はお昼時、しかし外出をした時は屋敷の手伝いをする事はない。

 僕の本来のやるべき事はカテラスから人々を守る事なのだから。そのために新たな超戦士を考えたりしている。だけどあまり超戦士を増やすのはいただけない。

 とりあえず二人を増やしたらしばらくは大丈夫だろう。と僕は思っている。しかしこうやって一人でいると切なく感じてしまう。この戦いはいつまで続くのだろうか?

 考えていると扉をノックする音が聞こえてくる。声を掛けて部屋に入るように言う。入って来たのは愛剥路だった。


「由人君!町が大変なの!」


 メットを被った威厳のある状態で部屋に入ってくる。

 愛剥路の話によると車やバイクが人々を襲っているらしい。誰かが乗って襲っているのではなく、誰も乗っていない無人の乗り物が人を襲っているとの事だ。 乗り物好きな愛剥路はこれがどうしても許せないらしい。こんな事が出来るのはカテラスに違いない!

 そう思っていたらアリツフォンから警告音が鳴る。


「きっと乗り物を操っているカテラスに違いない。愛剥路、行くぞ!」


「ええ!」


 ガレージに行き、ヘルメットを被りバイクに跨り愛剥路にしっかり捕まって現場に急行した。


 現場は能野町のとある屋内駐車場だ。僕達はバイクを降りてカテラスを探した。

 すると愛剥路が乗ってきたバイクが僕達を襲い始めた。どうやら乗り物を操るのは本当らしい。僕達は別方向に避けてバイクは壁に激突した。


「アタシのバイクが...」


 僕はアリツチップをアリツフォンに挿し込んだ。


[Weapon In]


電子音声の後に待機音が鳴る。


「武着装!」


掛け声を言って、CERTIFICATIONの文字をタップした。


[CERTIFICATION. In Charge of Weapons.]


再び電子音声が聞こえた瞬間、僕の周りに光が纏い、「アリツウェッパー」に武着装した。


「どこにいるカテラス!姿を見せろ!」


 すると上から飛び降りて姿を見せた。頭にバイクのハンドル、体は車の前面外装のような形をしている。


「お前が車やバイクを操って人々を襲っているのか!」


「いかにも!俺様はカーバイカテラス!二輪と四輪車を暴走させ、人間共を轢き殺しているのさ!悲鳴が響き渡るのは気持ちいいぜ!」


「乗り物を人殺しの道具にするなんてアタシが許さないわ!」


 よし!これならを渡しても良さそうだ。どうせこの状態になるんだろうし。と思ったら肝心の物はどうやら屋敷に忘れてしまったみたいだ。

 という訳でここは一旦愛剥路には避難してもらうことにした。 カーバイカテラスは駐車場にあるバイクを二台操り僕に襲わせた。僕はアリツフォンを取り出しアリツハンドを発動させ両手でバイク二台を止めた。


「クソ!ならこれでどうだ!」


 今度は車を左右挟み撃ちにするのように僕を襲わせる。襲って来た車を止めようとするが、当然バイクより車体や馬力が強いので挟まれそうになりそうになるがなんとか止められた。

 しかし止めた時にはカーバイカテラスの姿がどこにも見当たらなかったため、どうやら逃げられてしまったようだ。武着装を解除して愛剥路も元に駆け寄る。


「ごめん。逃げられたみたいだ。とりあえず屋敷に戻ろう。」


「でもバイクが...」


「しょうがない...防子に迎えに来てもらうか。とりあえずここを離れよう。」


 僕達は駐車場を離れて近くの公園に行く事にした。

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