#10「排泄物収集」B
カテラスを倒した僕達は屋敷に戻り、昼になって自分の部屋で防子と一緒に一息入れていた。
それにしても今回のカテラスに防子はすごい怒りを露わにしていた。あんなに怒った所初めて見たかも。
防子はあのカメムシの匂いが充満すると思うと考えてしまって、つい怒りが湧いてきてしまったらしい。確かにあのにおいが撒き散らされると思うと迷惑極まりないけどね。
「そういえば最近柔子ちゃんを見かけないな。」
「前に私を無理矢理連れて行った時に誰にもその事を伝えてなかったみたいで、今はサボりをしないようにメイド長と数人の先輩メイドと付きっきりで仕事をしてるみたいだよ。」
「そんなに問題児だったのか...そしてそれだけの人数がいないと仕事ができないのか...」
話をしているとノックの音が部屋に響き渡る。
僕がどうぞと言うと茶髪のロングヘアーにすらっとした八頭身、誰もが見惚れる程のルックスの女性が僕の部屋に入ってきた。
「お邪魔します!」
入ってくるなり、その女性は僕達の事を大きな瞳で見つめてくる。
(こんな人屋敷に居たっけ?というかどちら様?)
(わ、私も初めて見るよ、こんな綺麗な女性の人...)
「よし!君達に決めました!」
「は?」
「え?」
「全く...勝手に行かないでよ。」
「ごめん!ごめん!」
女性に呆れた感じで話しかけたのは未央理さんだった。未央理さんは僕達に謝罪と共に女性の紹介を始めた。
「悪いね二人共。急に入ってきて。この子は私の友人の
「えっ?御手洗商事の社長令嬢様なんですか!?」
「防子知ってるの?」
「掃除用具やトイレ掃除の用具の会社で、この屋敷でも御手洗商事の会社の物を使ってるんですけど、まさかお嬢様がその社長令嬢様とお友達だったなんて存じ上げませんでした!」
「まぁ、滅多に来る事ないからね。」
「その御手洗商事の令嬢さんが僕達に何の御用ですか?」
「私の趣味に協力してくれませんか!」
なんかテンション高いなこの人...未央理さんからも付き合ってあげてほしいと申し訳ない感じで頼まれたので協力する事になった。
その為には自分の家でやらなくてはいけないみたいで麗綺さんは僕達を麗綺さんの自宅に案内するということなので、麗綺さんの車で向かうことにした。
その車は高級車だった。僕達は初めて高級車に乗った。麗綺さんの使用人が運転している。
「それで協力って何するんですか?」
「それは着いてからのお楽しみです!」
「私も一緒で良かったんですか?」
「人数は多い方がいいです!」
何をするのだろう?力仕事でもするのだろうか?でもそれならもっと人数を連れてくるだろうし、こんな部外者の僕達に協力したい事って一体何なのだろうか?
屋敷から出発して一時間、麗綺さんの自宅に到着した。やはり家も屋敷であり、分部邸と比べると少しばかり劣るかもしれないが、豪邸と呼ぶには十分だった。
門が開いて車が入っていき、玄関の前で止まり僕達と麗綺さんは車から降りる。
玄関の扉を開けて中に入った。すると何人かの使用人が並んでいて、麗綺さんが入ってくるなり、おかえりなさいませお嬢様!と一斉に声を発した。
この光景に防子は驚きを隠せなかった。分部邸では見られない光景だったからだろう。
「それじゃあ早速協力してもらいます!」
「それで何をするんですか?」
「君達のオシッコとウンチを取らせてください!」
「...はい?」
「私、排泄物コレクションをしてまして...」
耳を疑ったが、話を聞くと麗綺さんは排泄物コレクションというイカれ…変わった趣味を持っていて、動物や家族の大便は集めたが若い男の大便は取った事がないから取らせてほしいみたいだ。何を言っているんだこの人は?
「あの、麗綺様は何で排泄物を集めてるんですか?」
「綺麗な物に関わってると汚い物を集めたくなりませんか?」
「えっと...どうでしょうかね...あはは」
やっぱりイカれてるんじゃないのかこの人?なんか仕事している内に疲れちゃったんだろうか?
「まぁ、未央理さんの友人なのでよく分かりませんけど協力しますよ。」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
麗綺さんは僕をある所に案内した。屋敷の広い廊下を歩いて、途中の扉の前で止まった。麗綺さんはビニール袋を取り出して僕と一緒にその扉の中に入った。そこは和式便所だった。
中に入るなり、麗綺さんは僕のズボンを脱がし無理矢理座らせ、しゃがんだ僕の尻にビニール袋を広げる。
「和式だから、取りやすいですね~」
「あ、あのさ、使用人の人達にやって貰えばいいんじゃ...」
「私、ウンコが出る所も見たいんです!」
「もしかして、他の人にもこんな事をしたんですか?」
「いえ、今までは動物のウンコだけ取っていたんですけど、人間では貴方が初めてです!」
なんか喜べない...喜ぶ事ではないんだろうけど。まだ出ないんですか?と催促されるが、そもそも女性の目の前で下半身を露出しているこの現状で排泄をするなんて出来る訳がない。
すると麗綺さんは失礼しますと言って僕のお腹を摩った。そうしたら僕の便意が訪れて来て、麗綺さんの持っているビニール袋の中に排便してしまった。
大便はビニール袋に入り、トイレの中は大便の臭いが漂う。女性の目の前で排便するなんて人生で体験する事なんてごく稀だよな...
「あぁ、この音…この臭い…まさに最&高!」
なんか麗綺さんが訳の分からない事を言って、僕達は防子の待つ屋敷の応接室に戻った。
「お、おかえり...由ちゃん...」
「た、ただいま...」
「次は防子ちゃんの番ですよ!」
「で、でも、こんなの恥ずかしいですよ//」
「由人君はやってくれたんですから、ほらほら!」
「は、はい//」
防子は麗綺さんに連行された。その間に僕は電話をかけた。
「もしもし愛剥路?悪いけど迎えに来てくれない?御手洗邸まで。えっ?場所が分からない?住所言うから調べて来て。よろしく。」
防子の排泄物の回収も無事に終わって一時間後、愛剥路の乗った車が来て僕達は御手洗邸から出る事にした。
「今日はありがとうございました!これお土産です!」
「何ですか?このタッパ?」
「私のウンコです!」
「要りませんよ!汚ったな!」
つい乱暴な言葉を言ってしまったが、挨拶して僕達は愛剥路の車に乗って屋敷に戻る事にした。帰る途中に車の中で一連の出来事を愛剥路に伝えた。
「そ、それは大変でしたね...」
「女性同士だったけど、自分のウ...大をするのは恥ずかしかったです//」
「わ、私もそんな事するのは恥ずかしいです//」
「今日の防子は怒ったり恥ずかしがったり忙しいな。」
「由ちゃんは恥ずかしくなかったの!?異性の前でその...するのは!//」
「まぁ、イケナイ事をしている気分にはなったかな。」
「よ、由ちゃんってばもう...」
それにしても世の中には色んな人がいるんだな。僕は心の底からそう思った。でもそれは今に始まった事ではないなとも同時に思っていた。
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