#5「開発者の変装実験」A
「拳也君って、何歳なの?」
「僕は十八ですね。」
「十八でここに住んでいるなんてね〜。僕だったら、抵抗あるかも。」
「でも住めば、意外と慣れる物何ですよ。」
こんな事を、由人さんと僕は話していた。
そのほかにも由人さんは今日は初めて屋敷の人から送ってもらった時に最初はリムジンを出された話等もしていた。すると母さんが段ボールを持ってやってくる。きっと例の物だろう。
「本当に拳也には、苦労をかけちゃってね〜。」
「大丈夫だよ。母さん。」
「それで彩絵花さん、完成したんですか?」
「ああ、そうなの。今日はそれで来てもらったんだけど...」
母さんが新たに、アリツフォンを二台完成させた。そのために今日は由人さんに来てもらった。原案者だから、一応見てもらう必要があるとの事。青と緑の色をしたアリツフォンで、青は防御で緑は格闘術だ。
「それじゃ、誰に渡すかは由人くんに決めてもらおうかしら。」
「え?僕がですか?」
「原案者ですからね。」
「関係あるのかな...じゃあ一つは拳也君に渡すよ。」
「えっ!?どうしてですか!?」
「だって彩絵花さんを守れるのは、今君しかいないからね。原案者より開発者の方が重要だからね。」
まぁ、そりゃあそうか。当たり前だけど、考えた人よりも作る人の方が重要度は上だよね。それに、屋敷とここで結構距離が離れているから、別々で対応できるというのもあるかもしれない。僕も運動は得意な方だから、大丈夫だろう...多分!
「拳也は、それで大丈夫?」
「分かりました、僕も平和を守りつつ、母さんには傷一つ付けさせないように頑張ります!」
「そっか。拳也君なら、きっと俺よりも出来ると思うよ。」
「それでもう一つの方はどうするの?」
「...当てがいるので、その人に渡しますよ。」
「そうなの。分かったわ。」
という感じで話は進んでいき、由人さんは屋敷に戻っていった。
戻る前に母さんがカードキーと段ボールを渡していた。由人さんが帰って、しばらく経ったら母さんが僕に話をしてくる。
「ごめんね、拳也。」
「えっ?どうしたの急に?」
「拳也には、苦労ばかり掛けていて、お父さんを亡くして、家のせいでいじめられたりして、苦労かけてるね。」
「いや、別に大丈夫だよ。お父さんは亡くなったって言ってるけど、僕は幼かったから言うほど覚えてないし、それにいじめって単に僕が金持ちの家に住んでるからちょっかいかけられてただけだから。」
本当にいじめてこようとした奴もいるけど、そういう奴らは僕が返り討ちにしてやったから大丈夫だけどね。
「それにここに住んでから、あまり外に出た事なかったよね?だから、これからどこかに出かけない?」
「えっ?これから?」
「そうそう。アリツフォンを二台作ったから、気分転換にと思って。それにアレを試してみたいからね。」
「あ〜あのスーツね。」
すると、母さんは奥に入り、そのスーツに着替えにいった。作っていたのは変装用のスーツだ。
カテラスに正体がバレないように作った物で、何でも来たら別人になれるらしい。しかし、作っていると聞いただけでどんな感じになるのかは僕は聞いていなかった。
そしてしばらくして、スーツに着替えた母さんが出て来た。
が、出て来た姿は白髪の老婆のような姿だった。それに合わせて、服装もその年相応に合わせたファッションになっており、おまけに杖までついていた。随分本格的だな...。
「あれ、母さん。背中がなんか出っ張ってるけど?」
「あ〜...やっぱりファスナーが目立っちゃうか〜。」
完璧に老人しか見えないのに、そんな着ぐるみみたいな感じなのか...出っ張りが思いの外目立ってしまっている。
それに母さんは女性の中では身長は大きい方だし、これで老婆になりきるなんて大丈夫なのか?
「よし、じゃあ拳也の準備が終わったら出発するからね!」
「わ、分かったよ。」
そして、僕達は実験を兼ねたお出かけをすることになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます