第26話
「俺さぁ、旨そうに飯食って、楽しそうに話す美紀ちゃんすげぇ好きだったし、毎朝改札の前で別れる時に美紀ちゃんが、今日も頑張ってって言ってくれるのが、実は俺の毎日の励みになってたんだよな」
美紀は胸の奥がきゅっと狭くなるのを感じた。
海斗が今までそんなことなど微塵も感じさせなかったからだ。
「この前スーパーの前で美紀ちゃんに会えた時、すげぇ嬉しかった。突然会えなくなってずっと心配してて、やっと会えたと思ったらあんな顔見せられて。もう抑えきれなくなって――」
話を遮るように、突然着信音が鳴り響いた。
美紀は慌てて鞄からスマホを取り出したが、画面を見て戸惑っていた。その様子に気付いた海斗が、覗きこんで言った。
「元彼だったら出ないで欲しい」
ブラウスの胸元が波打つ程に、美紀の鼓動が激しくなる。
――何でこのタイミングなの。
少し迷ってから「ごめんね」と言って、美紀は震える指で通話ボタンを押した。
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