第23話

 冷蔵庫に食材を詰めながら、美紀は考えていた。

 これでは大希と同じなのではないか、と。

 しかも海斗は既婚者なのだ。女性と手を繋いで歩いて、抱き合っているところを知人や奥さんに見られでもしたら、一体どうしていたのだろう。


 考えすぎなのだろうか。

 握手だと思えば平気なのか。

 ハグまでは挨拶なのか。


 空腹状態の頭は回らない。

 今日初めての食事の夕食を終えた美紀は、そのままソファーで眠ってしまった。



 翌朝、美紀は早くに目覚めた。

 昨日たくさん涙を流したせいで目元はもたついていたが、気持ちは少しすっきりしていた。

 朝食を済ませ、すっきりした頭でもう一度考えた。


 ――次会ったら、ちゃんと謝ろう。



 それから一ヶ月が経った。

 一ヶ月も経ってしまったのだ。

 そんなに都合よく、偶然の再会などあるはずがない。

『まほろば』へ行けば会えることは分かっている。けれど、時間が経てば経つ程行き辛さが増し、店への足はどんどん遠退いていった。


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