居心地
冴島ゆうと
28歳
大学卒業後に営業職で就職
あずさのことを気にかけて、よく話しかけてくる
年末に会社の忘年会で隣の席になってからよく話すようになった。
忘年会でアキトのことを聞かれたが、あずさが話したくなさそうにしていると気づくとそれ以上は聞いてこなかった。
昼職に戻ってから、何とも言えない居心地の良さと自分の過去とのギャップで悩んでいた。
毎日のように酒を飲み、昼夜逆転していた生活
戻りたい訳じゃない。
ただ、ここは自分の居場所ではない気がしていた。
仕事を終えて帰ろうとした時に、会社の前に冴島が立っていた。
あずさは冴島に声をかけた。
あずさ「お疲れ様です。誰か待ってるんですか?」
冴島「あ…いや。前みたいにあずささんや他の女性社員に絡んでくる奴がいるかもしれないから、女性が全員帰るまで、ここにいました。」
あずさ「え、女性が全員帰るまで、ですか?」
冴島「いつもは社内か向かいのカフェにいたんですけど、さっきあやしい男を見かけてカフェからここに来たら、もういなくなっていて」
あずさ「冴島さん、ありがとうございます。でも、冴島さんの仕事は警備員じゃないですよね?」
冴島は照れくさそうに笑った。
あずさは、ここが自分の居場所になるように努力しようと思った。
長かった髪を切ってボブにしてみた。
単純だけど、なんだか吹っ切れた気分になった。
出勤すると、髪型の変化に1番初めに反応したのは冴島だった。
冴島はあずさだけではなく、女性社員にはみんなに優しく人気があった。
あずさの髪型を大げさに褒めてくるので、これは人気な訳だ。と納得した。
春になり、新入社員が入りあずさも後輩の指導をすることになった。
同僚や先輩に相談したり、飲みに行く機会も増えた。
なんだか、ここに馴染めている気がして充実していた。
ずっとこのまま、続くと良いな…
そう思っていた時、同僚から飲みに誘われた。
山本さんは明るくてオシャレな人だ。
いつも大人数でいるイメージだったので、てっきり今回も大人数で飲むのだと思っていたが、2人きりで飲みに行くことになった。
山本「ねぇ、冴島さんのことどう思う?」
乾杯した途端に聞かれ、あずさは持っていたビールを落としかけた。
あずさ「冴島さんですか?とても良い人だと思いますよ。」
山本「そういうんじゃなくてさ、恋愛感情とかは?」
あずさ「えー。社内の人とはそういうこと考えたことないですね。」
山本「え!なんで?うちの会社若手多いのに〜」
あずさ「上手くいかなかった時に気まずいかなって…」
山本「そんなん気にしてたら婚期逃すよー?私、元カレも今カレも社内にいるけど全然気まずくないし」
それは…気まずくないのは山本さんだけなのでは?
言いかけて、やめた。
山本「私の勘なんだけどさ、冴島さんはあずさちゃんに気があると思うんだよね〜」
あずさ「まさか、そんな訳ないですよ。」
そんな訳ない。
あったとしても、私はきっとナオ以上に好きにはなれない。
最低だったけど、最高に好きだった。
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