狂依存

風俗嬢として働いて覚えた言葉がある。


昼職(水商売や風俗ではない一般の仕事)


ピンク系(風俗のこと)


黒服(水商売や風俗店で働く男性従業員)


出禁(お店や女の子から入店拒否される客)


あずさは、ショップ店員を続けながら風俗嬢としても働き、彼氏とも続いていた。


風俗で働くようになってお金に余裕が出来た

周りの女の子の影響でコスメや下着にお金をかけるようになった


あずさの変化に最初に気づいたのは、ヒロト。


付き合って1年くらいになる。

年上で元ヤンキー。

鳶職で趣味はバイク。


いつものように、待ち合わせ場所にヒロトがバイクでやってきた。


あずさ「今日はどこ行く?」


ヒロト「俺ん家」


そっけなく言われ、嫌な予感がした。


あずさがバイクの後ろに乗ると同時にヒロトがバイクを走らせる。


いつもより荒い運転。


怒っている時はいつもこう。


ヒロトの家に着いた。


部屋に入るなり、ヒロトはあずさの首をしめた。



ヒロト「お前、浮気してんの?」


あずさ「してない」


ヒロト「じゃあ、ケータイのメール何?」


あずさ「ガールズバーで働いて…お客さん…」


ヒロトがあずさの首から手を離すと同時にビンタをしてきた。



それから一カ月間


あずさはヒロトに監禁された。



部屋に外側から鍵をかけられ、自由に行けるのはトイレだけ。


冷蔵庫もテレビもない部屋でヒロトの帰りを待つ


ケータイは取り上げられて、ヒロトがいる時に母親のメールにだけ返信するように言われた。



お前のこと好きなんだ

なんでわかってくれないんだ

もう、ずっとここにいれば安全だから


そんなことを毎日言われる




逃げたい、辛い、こわい


愛しい、触れたい、そばにいたい



自分でも自分の感情がわからなくなる






ヒロトが仕事へ出かけた。

インターホンが鳴り、ドアを開けようとする音が聞こえた。


忘れ物?


と窓を開けて外に向かって聞くと、そこにいたのは黒服だった。


あずさちゃん、逃げよう。



その言葉はあずさにとって希望であり絶望だった




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