第5話 金宮さん
金宮さん。
この人は僕が18くらいの頃から知ってる人。
元同僚で今は良い友人の西野もこの人に可愛がってもらってた。
たまに喧嘩したりとかして、
「なにやってんの!!」っと2人してゲンコツを食らったり、説教されたり、姉ちゃんのような母さんの様な人だ。
僕は未だに二人きりになると甘える節がある。
…それだけ心を置ける人。
─────────店内。
「ねぇ。」
「どうしたの。」
「ちょっと来て。」
たまに資材庫に金宮さんを連れ込む。
「ねぇ、どうしたらいい?マジでさ、さっきのやつムカついた。めちゃくちゃ結月の事見てた。」
「あたしもそれ感じた。…涼ちゃんにはしんどいよね。」
金宮さんは僕とそんなに背が変わらない。
だからことあるごとに抱きしめくれる。
この人が居なかったら普通には働けていない。
大体僕がパニックになるのは、結月が居ない時か、結月が来る前は、金宮さんのいない時だった。
結月が来る前は、よく西野が金宮さんに連絡してくれてあまりに落ち着かない時は呼んでくれた。
最近は、大人になったのもあるし少しは落ち着い
た。でも、彼女から見て少し様子が違うなと思う時は僕に話しかけてくれて話を聞いてくれる。
多分そうやって見えない所で頼ってるのを結月は感じるのもあってたまに気に食わないのかなとも思う。
それと、以前は体の関係もあった。
結月と付き合い出してからきっぱりやらなくなったが、たまに…求めてしまう時もある。
────────────。
「ルイ。」
これはどっから始まったか分からないニックネームで、僕と西野と金宮さんだけが通じるもの。
「…ねぇルイ。」
たまに仕事中の金宮さんの肩に顎を乗せて甘える。
「なに?どうしたの。」
金宮さんも僕の頭を前から撫でてくれる。
「…して欲しい。」
「だーめ。ゆづちゃんいるでしょ。」
「じゃあさ、脱がなくていいし触んなくてもいい。いや、触っては欲しいかも。」
そう言うとたいがい、僕の方を向いて唇を指で撫でてくれる。
「夏だからってカサカサはよくないよ。」
金宮さんはポケットからリップクリームを取って僕の唇に直接つけてくれることもあった。
また違う時には、僕がしゃがんで作業してると、周りに誰も居ないことを確認して、包み込んでくれる。
「涼太、ちょっとだけいい?」
「いいよ。」
「…涼太が離れていっちゃう気がして寂しいんだよ?」
「僕は離れてかないよ。ずっとルイに甘えてるよ。」
「そう?ならいいんだけどさ、息子をお嫁さんに取られる時ってこんな気分なのかな?」
「…ごめんね」
「嬉しさ半分悲しさ半分かな。」
「…大丈夫。死ぬまで働かせるから。」
「そうね。そうしたら一秒でも長く涼太を見てられるものね。」
「…悲しい話すんなよ。」
「大丈夫、私はまだまだ元気よ?…でも涼ちゃんのその優しいところ好きよ?」
ルイはそう言って僕に口付けてくれた。
「…ねぇルイ」
「なに?」
「前みたいにしてよ…」
「寂しいの?」
「…大人にかまって欲しい。」
「…こんな風に?」
ルイが僕の唇…首筋…そこから耳へと指を這わせる…。
「はぁぁ…」
僕はルイの腰に手を当てて悦びで震えていた。
「…涼ちゃん、ずっと我慢してたけど、もういいかな?こんな顔みたらとめられなくなっちゃうよ?…」
─────────────────────。
「不思議でしょ?一切あなたを脱がせてない。私も同じ。なのにこんなに幸せな気分になれる…。」
2人でマットの上に座って僕は全身を震わせて身を任せていた。
「ルイ…」
「貴方は私のモノなのにね…悲しいばかり。」
「結月にこれは出来ない…」
「そうね。あなたへの愛情の種類が違う。私は貴方が可愛くて可愛くてたまらないの。」
「…ねぇ、ルイはいいの?…」
「…使っていいのかしら?」
「元々はルイのものだから…」
「…どう?」
ルイが僕の手を導く。
「久しぶり…でもこんなになってんのは初めてかも。」
「…奪い返したいな。」
そのまま押し倒されて思うように使われた。
────────────その晩、結月を抱いた。
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