刻の特殊な力


すると、トワイライトは刻の質問を返してくれる。


「今回の魔装凶器を人為的に発生させる機械仕掛け、それを〈狂械律の歯車イリーガル・ギア〉と言う名前に命名したの、色んな地域に拡散されたらしくて、十分の一すら回収出来ない状況、どうにかして、回収したいんだけど…それが分からないって事でね」


魔装凶器へ変貌させる恐ろしい歯車型の装置。

その装置の名前が、〈狂械律の歯車イリーガル・ギア〉と言う名前で統一する事となったらしい。

違法に作成された歯車…同じ歯車として、その名称に嫌悪感を覚えるが、実際、その形状が歯車なので仕方が無い事だった。

それよりも、話の主題では、〈狂械律の歯車イリーガル・ギア〉の回収、と言っていた。

周囲に拡散された事で、全ての〈狂械律の歯車イリーガル・ギア〉の回収が困難だとも。

だが、探す事自体は、大した問題では無いと、刻は思った。

それはなぜか、と言う話なのだが。


「〈狂械律の歯車イリーガル・ギア〉…黒い歯車なら、俺、見つけられますよ」


刻自身が、その〈狂械律の歯車イリーガル・ギア〉を見つける事が出来る。

新事実に、トワイライトは目を見開いた。

そして、彼の言葉を聞いていたのか、レアンカルナシオンが刻の方に顔を向けて、腕を組み直しながら聞き直す。


「…それは一体、どういう事ですか?」


と、そう言われて、刻は姿勢を正した。

何故か、彼女から問い詰められると、心身共に張り詰めた感覚を覚えてしまう様子だった。

彼女の言葉に、刻はどう言えば良いのか、頭の中で纏めながら言う。


「えぇと、俺は、歯車の武装人器で、歯車同士なら居場所が分かるんです」


その様に説明するが、幼女の様な戦処女神が話に割って入る。


「なんじゃそれは、武装人器が道具の話を聞く事が出来ると言うておるのか?」


如何に、武装人器が武器に変貌するとしても、元から武器として造られた道具と会話など出来る筈が無い。


「き、きっと、自分が少しでも生き残りたいから、処分派を少なくする為に言い出した嘘ですッ!き、きっとそう!!」


なので、少数ではあるが、戦処女神に刻の言っている事は死刑を先延ばしにする為の嘘だと決めつける。

だが、刻は反感を覚えた、如何に殺気を当てられたとしても、それだけは、否定しなければならない。


「あいつらは、道具じゃない、…複数の魂の集合体、なんですよ」


重苦しく、刻は言う。

彼らは生きていた、無惨に、歯車の形にされて、それでも、魂だけは生きていたのだ。

刻の迫真の言葉に、レアンカルナシオンは話を聞く姿勢になった。


「…それは一体、どういう事?説明をお願いします」


刻は再度、自分の考えを彼女達に聞かせる。

それは、戦処女神すら知らない事であった。

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