会議の内容


「ま、魔装凶器って、元に戻るものなんですか?あの、また魔装凶器になる可能性があるんだとしたら…ここで、この人、処分した方が良いですよね?ね?そうしませんか?」


対して、刻の存在自体に嫌悪感を抱き、即刻処罰をするべきだと言う戦処女神が一人。

前髪が長く、その前髪の隙間から、刻の事を何度もちらちらと見ている。

彼女の視線に気が付いていないと思っているのだろうが、刻は彼女の視線から殺気を感じ取っているので、彼女が刻の事を見ているのが丸わかりだった。


「まあまあ、待つんじゃ、少なくとも、こやつの肉体が特別の可能性がある、徹底的に解剖して確認すべきじゃろうて」


其処には、細くて長い獣の様な耳を生やす戦処女神が居た。

背丈は低く、口調から察するに高齢なのだろうが、どこをどうみても幼女としか思えない程に幼かった。

だが、その言葉はかなり際どく、刻の命を簡単に切り捨てる様な言葉をつらづらと並べていた。


「その役目…もしかして私がですか?…嫌です、男なんて、触りたくすら無い」


その言葉に反応したのか、一人の戦処女神が言い放つ。

ダウナーであり、刻では無く、男性に対して嫌悪感を抱いている様子だった。

そんな四方八方から己の意志を話し出している時、静かに、一人の戦処女神が話し出す。


「一先ず、話を戻しましょう、現状の目的は、刻と呼ばれる武装人器では無く、〈狂械律の歯車イリーガル・ギア〉の回収です」


黒髪で腰まで伸びた髪。

妙齢な女性だった。

肉体は兎に角、性欲を湧き上がらす様な豊満な体型である。

正しく、美女と言う言葉が似合う戦処女神である。

どうやら、この組織の中で、彼女が一番、偉い存在であるらしい。

彼女が喋る時、他の戦処女神は、口を出す事無く話を最後まで聞いていた。

どうやら、黒髪の美女は、刻よりも、周囲に拡散された〈狂械律の歯車イリーガル・ギア〉、と呼ばれるアイテムの回収を優先したいらしい。


「だーかーらー、その〈狂械律の歯車イリーガル・ギア〉の回収を、どうすれば良いのかで脱線してんですよーっレアンカルナシオン先生ッ!」


レアンカルナシオン。

それが、黒髪の美女の戦処女神としての銘であるらしい。

再び、彼女達は議論を開始している、話の主題である刻を差し置いて、話をしているので、刻は石化が解かれたかの様に深呼吸をして、隣に立つトワイライトに話をする。


「トワイライト、様、これ、今なんの話をしてるんですか?〈狂械律の歯車イリーガル・ギア〉って」


話の中にあった、〈狂械律の歯車イリーガル・ギア〉、と言う名称。

刻には、聞き覚えの無い名称であり、それを知っているトワイライトに話を振った。

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