第15話 古代の痕跡


鬱蒼と茂る森の奥、エルフリックたちの前に古びた石碑が立ちはだかっていた。そこには見たこともない文字や紋章が刻まれ、どこか不気味な威圧感を放っている。冷たい空気が漂い、鳥の鳴き声すら遠ざかったかのように静寂が辺りを包んでいた。


「これ、本当にただの試練の一環なのか?」

カイルが眉をひそめながら問いかけると、リオが興味深そうに石碑を眺めた。

「俺たちを驚かせる仕掛けの一つって感じだな。触ったら爆発とかしないよな?」

彼の軽口に対し、シェルナが冷静に答える。

「そんな単純なものじゃない気がする。この石碑、ただの装飾じゃないわ。」


エルフリックも同意するように頷き、石碑をじっくりと観察する。古びた文字や紋章を目で追いながら、地球で学んだ記憶が脳裏をよぎった。これは「謎を解け」という合図だ。


「触らずに解読しよう。紋章が鍵を示しているはずだ。」

エルフリックの言葉に、一同が集中して石碑に目を向ける。だが、その文字は誰にとっても未知のものだった。

「全然読めないな。これ、どこの言葉だ?」

リオが頭を掻く一方で、アランが静かに口を開いた。

「恐らく古代魔法文字の一種だろう。学院で少し教わったけど、簡単に解読できるものじゃない。」


そんな中で、シェルナが足元に転がる小さな石片に目を留めた。彼女が拾い上げたその石片には、石碑に刻まれた文字と同じ模様が彫られている。

「この石、何かに使えるかもしれない。」

彼女が石片を石碑にかざすと、薄く青白い光が浮かび上がった。それは石碑全体を覆うように広がり、まるで彼らの行動を評価しているかのようだった。


「すごい……何か反応してる!」

リオが驚きの声を上げる中、アランが慎重に観察を続ける。

「どうやら、これが解読のヒントになるようだな。この石片を使って紋章の意味を探るんだ。」


エルフリックは石碑全体の模様を観察し、文字と紋章が規則的な並び方をしていることに気づいた。彼はそのパターンに基づき、模様の順番を慎重に読み解いていく。


「左上から順に触れてみよう。この模様は『光』を意味しているかもしれない。」


シェルナが言葉に応じ、光の魔法を石碑に向けて放つと、紋章が一瞬強く輝き、やがて全体が崩れることなく静かに変化を遂げた。石碑の中央が開き、中から古びた巻物が姿を現す。


「これが……鍵?」

エルフリックが慎重に巻物を取り出し、その表面を確認する。文字がびっしりと並んでおり、その内容は古代魔法の術式のようだった。だが、解読には時間がかかりそうだ。


その時、森の奥から微かな音が聞こえた。それは風を切る音で、瞬く間に近づいてくる。


「おい、何か来るぞ!」

カイルが叫ぶや否や、影のような存在が彼らを取り囲む。狼に似た形をした黒い霧のような生物――いや、それは生物とは呼べない、不気味な存在だった。


「これは……魔法生物じゃない。何だ?」

シェルナが防御の姿勢を取る中、アランが影の中の気配を探るように目を細めた。

「古代魔法に関係する守護者の類だろう。どうやら、巻物を簡単には持ち帰らせてくれないらしい。」


敵が牙をむき出しにして襲いかかると、カイルが素早く剣を抜いて応戦した。雷のような速度で動き、黒い影を一刀両断する。リオも続いて雷魔法を発動し、光の閃きが霧を吹き飛ばした。


「連携して撃破するぞ!」

エルフリックが指示を出す中、シェルナは光の防御魔法で全員を守りつつ、次の攻撃に備えた。


「リオ、右側を頼む!シェルナ、援護は任せた!」

エルフリックの的確な指示で一同が動き出す。リオの雷撃が霧の形を崩し、カイルの剣が止めを刺す。アランの影魔法が次の攻撃を封じ込める中、エルフリックは巻物を守りつつ戦況を見守った。


やがて影たちが完全に消え去り、静寂が戻る。


「これが、この森の試練ってことか。」

カイルが剣を収めながら肩をすくめた。リオも息を整えつつ、巻物を見つめる。

「で、これに何が書いてあるんだ?」


エルフリックは巻物を慎重に開き、その内容を確認する。文字列は複雑だが、地球で学んだパズルや符号の知識を思い出しながら解読を進める。


「これは……未来の可能性を示すものかもしれない。」

エルフリックがつぶやいた言葉に、一同が耳を傾ける。

「未来?どういう意味だ?」

アランが問いかけると、エルフリックは巻物を指差した。

「この文字は過去と未来を象徴しているように見える。そして、これは『選択』に関する古代の知恵だ。」


その説明にリオが肩をすくめる。

「知恵とか選択とか、結局これが俺たちに何を求めてるのか分からないよな。」

カイルが同意するように頷く。

「何にせよ、この試練をクリアしたってことだろ。次に進もうぜ。」


一方、シェルナは巻物を見つめたまま小さくつぶやく。

「選択……。私たちが何か重要な分岐点にいる、ってことなのかしら。」


エルフリックもその言葉に共感しつつ、内心では答えの出ない問いに悩んでいた。この巻物が示す選択と、彼らの旅がどう繋がるのか。


森を抜けた先に待ち受ける新たな光景が広がった。遠くに見える大きな構造物――それは、古代文明の遺跡の一部であるかのように見えた。装飾が施された巨大な門が静かに彼らを迎えるようにそびえ立っている。


「まるで、この遺跡全体が試練の舞台だな。」

リオがその異様な光景に圧倒されながらつぶやく。


「先に進むしかない。ここからが本番かもしれない。」

エルフリックが巻物を慎重にしまい込み、一同はさらに奥深くへと足を踏み入れる。


緊張感を帯びた静けさの中、彼らは次なる運命に立ち向かう決意を胸に秘めていた。そして、古代遺跡の内部で待ち受けるさらなる試練が、彼らをより深く成長させる予感が漂っていた。


―――――――――――――――


読んでいただき、本当にありがとうございます!物語の進展やキャラクターたちの成長を楽しんでいただけたら幸いです。これからも新たな試練や驚きが待っていますので、ぜひ引き続き応援よろしくお願いします!皆さんの想像力でこの世界を一緒に作り上げられたら嬉しいです!


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