4 ころながあらわれた
コロナが蔓延し始めて、正直僕はかなり焦っていました。
仕事のあり方が見直されて、職場で新しいことを勉強しなければならなくなりました。半ばルーチンワークと化していたことを一から見直すことはかなり大変なものでした。そして、何より気をつかったことは、コロナにかからないように日々を過ごさなければならなかったことです。
どれもがストレスではありましたが、まあそれはおおよそ全ての人が感じていたことだと思います。僕だけの話ではありませんよね。
僕の仕事は、コロナにかかるリスクが高いにもかかわらず、コロナに罹患するわけにはいかないという、なんとも苦しいものでした。さらに、コロナに罹患してしまった場合、追跡調査の対象となり、発症3日前までの行動履歴が調査されます。職場のタイムカードと帰宅時間がすり合わせられると、空白時間がばれてしまうリスクがあります。交友関係も暗黙の了解で自粛ムードが漂う中、つまり、お風呂屋さんに行って万が一にでもコロナに感染してしまったら、この遊びが多方面にばれるリスクがあります。水に流してね~お風呂だけに テヘ なんて言える職場じゃありません。ガチ始末書です。場合によってはクビきられます。
僕も一応、一家を支える大黒柱。さすがにそんなリスクを背負ってまで、お風呂で遊ぶわけにはいきません。そんな理由もあり、自分の中で、もうお風呂遊びは引退しようと心に決めました。
で、やっぱり最後の最後に指名するのは桃ちゃん。
「え~、もう来てくれないの?」
「ごめんよ~やっぱりコロナにかかるわけにはいかないからさ~」
「……じゃあ、お店じゃなかったら良い? 追跡調査でお風呂遊びばれちゃうなら、外で会えばいいじゃん! 友人関係だったらそんなに問題ないでしょ!」
「……ん?(そう……なのか?) でも、それだと、個人的にお付き合いしましょう、ってこと?」
「そうそう! 連絡先交換しよー」
嘘みたいな話ですよ。
正直、こんな展開になるなんて全く考えていませんでした。他のお客さんにも同じこと言っているの?ってきいたら、「そんなわけないじゃん!っていうかむしろお客さんと連絡先交換するの本当はNGなんだからね!お店に言っちゃだめだからね!」って怒られました。
はい、かわいい。
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