第15話 偽の告白

頭の中で、可能な限りの選択肢を走らせた。


彼女の精神状態は危険。放っておけない。でも、直接介入すれば逆効果になる可能性がある。


「凛」


一瞬の沈黙の後、覚悟を決めるように言葉を紡いだ。


「俺と付き合ってくれないか」


彼女の目が、僅かに揺れた。


制御不能になりそうな感情を、関係性という枠組みで囲い込む。償いではない。保護でもない。ただ、彼女の心を繋ぎ止める。


「え?」


かろうじて彼女の意識が、現実に引き戻される。


「俺のこと、好きになってくれ」


嘘八百の告白。でも、今は嘘が必要なのかもしれない。


彼女を、現実に、生きることに繋ぎ止めるために。

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