第13話 決断


夕暮れ時、学校帰りに突然現れた男。


「お前が、響を台無しにした女か」


サッカー部のユニフォームを着た青年。健太と名乗る彼はどうやら響の幼なじみらしい。目は憎悪に満ちていた。


「響のどれだけの可能性を潰したか、分かってんのか?」


男の言葉は、氷のように冷たく鋭かった。


「全国大会で活躍し、プロスカウトも注目していた逸材を。たった一瞬で、全てを奪った。お前のせいで、響の人生が終わったんだ」


一言一言が、私の心に深々と突き刺さる。これまで誰も直接言葉にしなかったことを、彼は容赦なく放った。


「響は何も言わないだろうけど、俺は言ってやる。お前は最低だ」


プツリ。


何かが、私の心の中で音を立てて切れた。


これまで必死に抱きしめてきた罪悪感が、一瞬にして砕け散る。男の言葉は、皮肉にも私を解放した。


もう、これ以上罪悪感に苛まれることはない。

最低な私が出来る、最大限の償い。

最後くらい、迷惑をかけないように消えてしまおうか。

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