第12話 懺悔
さっきまで響の胸に顔を埋めていた自分。その温もりが、まだ肌に残っている。
「何て恥知らずな…」
震える指で頬を撫でる。
響を助けるために始めたはずの償いが、いつの間にか彼の温もりを求めていた。彼の胸に顔を押し付けた瞬間の、罪悪感と同時に感じた安堵。それが心地よかった。
それは裏切りだ。
彼の痛みを利用して、彼の優しさに甘えている。サッカーの夢を奪った自分が、彼の胸で涙を流す権利なんてない。
自己嫌悪が、全身を侵食していく。
「...忘れちゃ、ダメだ......」
鏡に映る自分に呟く。事故の瞬間を。彼が失った全てを。
でも、その瞬間、心の奥底で響の温もりを求める自分がいる。その現実に、私は震えた。
「…私が、事故で死んでいれば、良かったのに…」
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