AIには感情がないというイメージがありますが……
- ★★★ Excellent!!!
まずは執筆お疲れさまでした。
さて、この作品のいいところは、AIにはあの男性と出会う前から感情があったのではないか、と思われる点です。
何を言ってんだコイツは、と思われるかもしれませんが、一から説明させてください。なお、この作品においてAIの感情の有無を考えるのは野暮と考える向きもあるかと思いますので、その場合は以下は読まなくても構いません。
まず、この作品に出てくるAIに初めから感情があると思った理由ですが、それは男性と出会う前に人々の死に様を『美しい』と思う描写があることです。感情がなければ、そのように思うことはないと私は考えるのです。無論、その前に『何故か』とあるのでそれを感情と呼んでよいのか、ただのバクと呼んだ方がいいのかは、判断に迷うところですが。
次に、なぜそれがいいと思ったかですが、それは最後、男に名を与えられたことで、幻聴という明確なエラーを起こしていることに起因します。このAIには感情があるのではないかと考えながらこの場面を読んだ私にとって、これは感情がないと自認していたAIが、初めて明確な形で感情というものに触れた瞬間に思えました。
また、これは勝手な私の解釈なので、やはり無視してもらっても構わないのですかが、このAIの開発者は、やもすると感情をプログラムしていたのではないかと思うのです。先ほど述べた『美しい』という感想を抱いた点もそうですし、何より人間を助けることを『使命』と述べている点に、何よりそう思えました。人間を助けるという『プログラム』を『使命』と感じているところに、そのAIの意志、そして「生きることそのもに意味がある」と述べた開発者の意志のようなものを私は感じたのです。……それともこれは、人間を助け続けたなかで学習したものなのでしょうか。どちらにしても、このAIをつくり出した開発者は強い意志を持っていたのでしょう。そんなふうに、私にはおもえました。
長文失礼しました。応援してます。