第5話 やっぱり作戦は立てるべきだね
「倒すとは言ったものの...」
俺は走りながら考える。
「どうやったら倒せるんだ?」
先ほどはスキルを使って不意打ちをしたが、スキルであるため、当然クールタイムがある。
「まぁとりあえず殴ってみますかねぇ。」
俺はクルリと振り返り、そいつ、バンダナゴブリンを見る。
別に俺はゲームが下手なだけで苦手ではないため、今の俺なら何とかなると思って正面から戦うことにした。
「スキル『深刻な
▽▽▽
―『深刻な
これは自身にバフを付与するスキルである。
このスキルは誰もが所持しているスキルである。
このスキルを発動すると、1分間、クリティカルが出やすくなる。
クリティカルとは、攻撃時低確率で発生する攻撃であり、クリティカルがでると現在の武器の攻撃力が倍になる。
スキルレベルが上がるごとに、クリティカルが出やすくなる。
現在のスキルレベルは1のため、確率は10%である。(最大100%)
△△△
「おら!」
俺はバンダナゴブリンに対して剣を横に振るった。
だが、ゴブリンはしゃがんでそれを回避した。
「マジで最初に戦う魔物じゃないだろ...!」
俺はそう言いながら剣を再度振る。
だが、またしてもそれは当たらなかった。
「クソっ!」
そして俺はまた走る。
―――「はぁはぁ、このままじゃ効果が、切れる...。」
なにか打開策を...!
「あいつは今、傷をおってる、それと知能もある程度高いとみた。...幸いなことに一匹だけだ。だったら」
俺は策を練る。
「これで行こう。」
そうして俺はそれを実行するのだった。
俺は森の中で息をひそめる。
「ぐぎゃ?」
バンダナゴブリンは俺を見つけようと辺りを見渡す。
すると、
「ぐぎゃ!ぐぎゃぎゃぎゃぎゃ!」
と、そいつは声を上げた。
「見つかったか?」
だが、俺はまだ動かずにいた。
だがバンダナゴブリンは一直線に突っ込んでくるようだった。
「あの勢いだと...いや、大丈夫か。」
俺はスキルの持続時間を確認しながらまだゴブリンの行動を観察していた。
...そして...。
『バキッ』
と、なにかが壊れる音とともに俺は息をひそめるのをやめた。
「かかったな。」
「ぐぎゃ!?」
「お前の知性が高いおかげで助かったよ!」
俺はその瞬間、ゴブリンの首めがけて剣を振るった。
その瞬間、『キュイン』という音とともに、剣が当たった場所にはクリティカルと表示されていて...、
目の前には『LEVEL UP 1 ➡ 5』の文字とバンダナゴブリンから落ちたであろう、ドロップ品が落ちていた。
「はぁ、はぁ。」
俺は立ち尽くしていた。
未だにあれを自分の力だけで倒せたということにまだ頭がついていかない。
「やったんだ。俺が、...俺が...!」
俺は手をグーにして天に突き上げ、
「っしゃああぁぁぁぁ!」
と雄たけびをあげるのだった。
「知性が高いから倒せたってわけじゃないが、あいつがそもそも敵として強くなかったらできなかったことだったな。」
俺はドロップ品を漁りながらひとり反省会を開いていた。
先ほど俺がバンダナゴブリンをどうやって倒したのか説明してやろう。
まず、現在の俺の状況を話す。
俺は今、..."パンイチ"(一張羅)だ!
いや、別にこれが趣味ってわけじゃないからね?
ただ、これがあいつを倒すために必要だったってだけで。
ま、まぁ、まず俺は服を脱いだ。
それを適当な木にくくりつけておいた。
そして、俺は息をひそめて隠れる。
普通の敵なら見失って終わりだろう。だがあいつはそれなりに強かった。
だからこそ、視覚だけには頼らなかった。
ここは森だ。聴覚に頼ろうにも音が多すぎる。
だからこそ嗅覚を使って俺を探し出すはずだ。
予想通り、あいつは嗅覚で俺を探し、ダミーに飛び込んでいった。
そこを俺がズバッとやったってわけだ。
いやー、我ながらに良い作戦である。
俺はそんな感じで浮かれながらドロップ品を漁り、
「あ!武器落ちてんじゃーん。」
と、先ほどのバンダナゴブリンが持っていたボロ剣よりは強そうな鉄の斧をゲットした。
「よし!やっと比較的まともな武器が手に入ったし、今度こそ村に行くぞー!」
と、俺は最初の村に向けて足を運ぶのだった。
クライシス・シンドローム ~幸運値が高すぎるとゲームバランスが壊れるらしい~ テルン @_tellnrn_
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