第3話 やっとゲームが始まりました!
『クライシス・シンドロームへようこそ!ヒカリさん。』
「うおぉ、思ったよりいきなり始まったな。」
目の前には"WELCOME"とでかでかと表示されていた。
するといきなりその表示は消え、別のタブが目の前に飛んできた。
『見た目を選択してください』
「えーと自分のアバターってことか。」
画面には俺の体がほぼ狂いなく写っていた。
「知らない人に顔が見られるのは嫌だな。なんかマスクとかないわけ?」
俺は頭装備の一覧を見渡す。
「んん?これは...マスクだよな。確かに隠せてる。隠せてるんだけど。」
俺はそれを手に取り、
「覆面だよね!これ!?」
いかにもドロボーがつけてそうなマスクである。
「もっといいの...ん?てかアバターの体変えられるんじゃね?」
自分を見ず知らずの人に晒すとなったらこのゲームの個人情報とかの取り扱い、心配になるんですが。
そう思い俺はアバターの設定画面をいろいろといじってみた。
結果、
「性別とか顔の形も変えられんじゃん!」
予想通りだったよ。
「髪の色とかも変えられるんだ。でも、性別変えるのはなぁ。」
とりあえず髪の色を白っぽくしておいた。少し水色みのある白である。
「あとは...濃いサングラスでもつけとけばオッケーだろ。」
ということで、
「アバター完成ー!」
うん。髪色のおかげでどこからどうみても頼人じゃない。
ついでのグラサンでちょっとチャラけてる感も出てていい感じだ。
「どうせ外すんだろうけどな。」
俺は決定ボタンを押す。
すると次に
『職業を決めてください』
とのアナウンスがあり、さきほどと同様にタブが飛んできた。
「職業?えーと『剣士』『タンク』『魔法使い』『重戦士』『商人』『盗賊』...いっぱいあるな。」
さらには職業によってバフやら特性がすべて違うときた。
「ここにもゲームをあんまりやらなかった弊害が...」
だが悩んでも悔やんでも仕方がない。
ゲームが不得意なら不得意なりのやり方もあるだろう。
ゲームをやって慣れればいい。
「うーん。どれを見てもどのステータスが高い奴がいいのやら。」
・剣士だったら基礎攻撃力が高く、タンクなら防御力と体力がとても高い、その代わりに素早さが落ちる。
・魔法使いなら魔力と少しばかり攻撃力が高い。
・重戦士なら攻撃力がどの職業よりも高いが素早さがタンク以下。
・商人はほぼすべてのステータスが低いがその代わり特別な施設を使用でき、その名の通りプレイヤーやNPCに対して商売ができる。
「次は...」
...そこで俺の目がとまる。
「『盗賊』か」
名前はあれだが、攻撃力が少し高く、素早さが高い。そしてなにより幸運値が一番高い。
「幸運っつったらあれだよな。逃げやすくなったり、攻撃を避けやすくなったり、盗賊だから相手からアイテムを奪いやすくなったり、あとは、素早さがちょっと高いから避けながら攻撃とかもできるか。...俺にそんなことができるのかは怪しいが。」
だが代わりに体力が少し低いのが難点だな。
「ま、幸運なんだしそこらへんは何とかなるんじゃね?」
ということで俺は『盗賊』を選ぶことにした。
いちいち真面目な顔して考えても俺にはさっぱりだしな。
「決定っと」
すると画面には
『設定が終わりました。』
『これからあなたの冒険が始まります。』
という文字とアナウンスが流れた。
『その他の設定はゲーム内のメニュー、設定から変更可能です』
『それではこの世界の危機に立ち向かえますよう』
『――ご冥福をお祈りいたします――』
そして俺は光に包まれる。
「うおっ!まぶし。」
とっさに目をつぶる。
そして目を開くと、
「...は?」
そこは見知らぬ森のど真ん中で
「どこだよここぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」
心の底から叫ぶのだった。
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