第2話 会社なんてクソ


「あー昨日はなんかボヤボヤしながら寝ちゃったな。…服も着替えれてないし、・・・汗くせェー…」

昨日は帰ってきてから気絶するように眠ってしまった。

「とりあえずシャワー浴びるか、考えるのはそれからにしよ」

服を脱いでいる時に指輪が外れないことを思い出した。

「…はぁ、忘れてたわこの指輪と本の存在。マジなんなんだよこの2つ」

仕事でこの指輪が邪魔になることは無いのでまだ良かった、が違和感はぬぐえないので外し方を模索している。

「夢だったら良かったんだけどなー、……やっべ。予定時間過ぎてるわ早くしなきゃ。課長に怒られるのは面倒だからな、最近の若い奴は〜って愚痴言われちまう」


「とりあえず、本は置いておこう。荷物になっても面倒くさいし。・・・指輪はどうしようかなー、隠したいんだよなぁ。話しかけられそうだし、行きに手袋でも買うか。手を怪我したとか言って包帯でもいいな。・・・厨二病みたいに思われるか?…ってこんな独り言喋ってる時間ねーわ」


「指輪は行きながら考えよう。今日は仕方がないから人目を我慢してそのままで行くか」

いつもの時間を大幅に過ぎていたので遅刻覚悟で急いで行くことにした

「…はぁ、…はぁ、なんで今日に限ってこんなに会社が遠く感じるんだろう、会社の近場に家借りたけど信号多いし、車が多くて道が混むし、・・・完全に住む場所間違えたな、今更だけど」

会社に着いた頃には始業時間を過ぎてしまった

「はぁ、また今日も朝からガミガミ言われるのかぁ…、聞き流したいけど、目見ろとかなんか言えるやろって返事求められるんだよな…」


「すみません。遅れました」

「おいおいおいおい!!!!!尾瀬おせ!!!今日も遅刻しやがったなぁ!!!!」

「はい、すみません杉本課長」

「おいおいおいおい!!!!頭はもっと深く下げろよ??おい!!!!聞いてんのか!!!!他の奴ら見てみろよ、普通に間に合ってんだよ?分かるお前との差。お前の代わりなんていくらでもいるんだぞぉ?」

「はい、すみませんでした」

「それしか言えねぇのか?頭の中も遅刻してんのかよ?」

「……面白いとか思って言ってんのかな?アッベ」

「あ??????今なんった?尾瀬おせくんさぁ?声聞こえてるぞぉー?おい、なんか言えや!」

「申し訳ありません。考えてたことが漏れてました」

「お前さぁ、俺の事舐めてんだろ?マジで上に言ってクビにするぞ?そしたら生活出来なくなるよなぁ?また、使えない探求者シーカーに逆戻りかぁ?あ??使えないお前を拾ってやったのはこの会社ってこと忘れたんかぁ?あ???」

「・・・」

「なんか言えや、おい!聞こえてんのか?お前使えないってこと理解した方がいいぞ?お荷物さんよぉ、自分のケツも拭けねぇやつは死に方も選べねぇぞ?お前はボロ雑巾になるまでここで働くんだろ?面接の時に言ってたよなぁ?僕はなんでもやりますって言ってたよなぁ?覚えてるか?カス」

「・・・はぃ」

「やっと喋って返事かよ。お前使えないよ?知ってるか?お前が影でなんて呼ばれてるか。使えない先輩・お荷物・顔だけいいバカ・ケツ拭けワンワンだぞ?覚えとけよ、お前は一生奴隷なんだよ!この会社の犬になっとけや。…なぁ?次からはワンって返事して、今居るヤツらには、みんなに迷惑かけてすみませんでしたって言えや。これくらいの言葉を理解する知能はあるだろ?使えないお前でも」

「・・・はぃ」

…もう、限界だった。今日はいつもの倍以上の言われようで泣きそうになった。

「おいおい、急に泣いて被害者面ですかぁ???今どきのわけぇ女でも泣かねぇぞ?お前女より下だな?まぁ、ボロ雑巾だし仕方ねぇかぁ」

「・・・」

「はぁ、もういいわお前。つまんねーし早く辞めちまえよ。お前が居るせいでこの会社の名に傷が付いちまうからよ。お前、居なくなれよ。あ、でも。自分から辞めてくれよ?お前のせいで俺らの経歴に傷がつくのは嫌だからな」

「・・・はぃ、お世話になりました」



言い返せなかった。言い返す勇気が出なかった。いつも言われている事だったから大丈夫だと思っていたけど、…大丈夫じゃなかったみたい。…こんな人生いやだなぁ。会社の誰にも頼ることが出来ない生活をしながら。…この会社のためを思って頑張っていたはずだったんだ。自分の身を削りながら、ボロボロになりながら、親友や両親に反対的な意見を言われても、こんな俺を拾ってくれたこの会社に恩返しをしたいと思って頑張っていたのに。…所詮しょせんはゴミみたいな扱いで俺の事なんてただの道具としか思っていなかったらしい。

こんな思いするなら、あの時死んだ方がマシだったなぁ。

課長が近づいて来て俺の耳元で囁いてきた。

「あ、そういえば今だから言うけどお前が気に入ってた新人の子。あの子堪らなかったぞ。」

「…はぁ?」

動揺が止まらなかった。何を言われているのか全く理解が追いつかなかった。

「この前飲み会あった時にさぁ、この薬混ぜたんだわ。そしたらよぉ、あっちから誘ってきてよ」

「…もう、いいです話さなくて」

「あ??何口答えしてんだよ、カスの分際で」

「黙れよ、お前。俺はもうこの会社の社員じゃない。他人のお前にガヤガヤ言われる筋合いは無い」

「クビ宣告されて、急に開き直りやがってよぉ?お前にディベートする権利ねぇから。一方的に言われてろよ。落ちこぼれのお荷物カス野郎」

「・・・はぁ、杉本さん。これだけは言わないようにしてましたけど、年下の女性の身体触りながらご飯のお誘いするの止めろよ、自己発電おなにー野郎が」

「な、、、、なんだとぉ!!!!貴様!!!やっと口を開いたと思ったら好き勝手言いやがってお前なん「だ・か・ら、黙ってろよ。歳下好きロリコン野郎。お前のせいで俺の耳が腐ったらどうするんだよ、これ以上喋るならマジで社会復帰出来ないようにするぞお前ころすぞ?」

「そんな戯言でビビる訳ないだろう!!」

「そうか、ならそう思っといてくれ」

言いたいことは大体言えたので、会社を後にすることにした。

去り際に今年入ってきた新人の花坂四葉はなさかよつはに会ったが特に喋ることが無かったのでそのまま会社(元)を後にした。


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