第22話 リラちゃんは『特別なお礼』をする。

「お待たせなぁ、タクミくん。この衣装、どうやろか?」


僕がベッドで待っていると、リラちゃんが扉を開けて入ってきた。その格好は……なんとメイド服だった。しかも、かなり見覚えがある。


「それ、アリアちゃんが着てた服?」

「そうなんよ。アリアちゃん、メイドスキルで自分で縫っててなぁ。一つ譲ってもろうとったんよ。でも、私にはちょっとだけ胸が緩いから、やっぱりアリアちゃんの方がおっきいみたいやなぁ」


え、Jカップのリラちゃんよりも明確に大きいのか……? アリアちゃんの超絶ロケットを、思わず想像してしまう。


「あらら、その顔はアリアちゃんのロケットを妄想してる顔やねぇ。いけずやなぁ、うちが処女をあげるときに、他の女の子のお山のことを考えてもうてるの?」

「あ、ごめん。そんなつもりじゃなかったんだけど」

「もう、正直者やなぁ。でも、そんなタクミくんやから、うちも好きになってしもたんやけど……♡」


リラちゃんは腕を僕の首に巻き付けて、軽く背伸びをしてくる。僕はその柔らかな身体を抱きとめて、キスをした。積極的に舌を挿し入れて僕の口内をねぶってくるリラちゃんの吐息は、すでにすごく熱を帯びている。


「んっ、んちゅっ……タクミくん、こっちも触って? タクミくんが好きって聞いたから、スカスカなんよ♡」


そして、僕たちは身体を重ねていく。


「これがセックスなんやねぇ。うちも、赤ちゃん作れるんやなぁ……あっ、ちゃんと避妊薬は飲んどるよ? 詩織ちゃんの薬はすごいなぁ、もう痛いののうなって、気持ち良いしかないんよ♡」


リラちゃんは幸せそうに言いながら、繋がったままもたれかかって、僕の唇を塞いできた。


「……そろそろ、うちにも愛してるって言ってほしいなぁ」


そう言えば、好きとか愛してるとか、ちゃんと言えていなかった。


「ごめん、リラちゃん。リラちゃんのこともちゃんと大好きだし、愛してるよ」


「ええよ、タクミくんがうちを大事に思うてくれとるのは、ちゃぁんと分かっとるから。愛しとるよ、タクミくん。うちらのこと……特にうちみたいに、夏帆ちゃんみたいに娼婦になる度胸もなかった役立たずのこと、見捨てずに生きさせてくれて、ほんまにありがとうなぁ……♡」


ちょっと涙目になりながら、リラちゃんが僕に唇を重ねてくる。僕の胸に手を置いて、唇やほっぺたや首筋に、キスの雨を降らせてくる。


「うちは娼婦になった方が、みんなの負担も減らせることは分かっとったんよ……でもうち、まだ処女やったから……」

「そんなこと、無理して話さなくても良いんだよ、リラちゃん」

「ううん、言わせて。タクミくんに処女をあげてから娼婦になろうとも思ったけど、それやとお金にならんやろ? それに、抜け駆けにもなるし……ずっと踏ん切りがつかんで、みんなの足手まといで、どうしたらええのか分からんまんま、みんなの優しさに甘え続けてきたんよ、うち……」


リラちゃんがそこまで悩んでいたとは知らなかった。でも、リラちゃんが本当はまじめな性格で、ちょっとエッチな振る舞いが後付けだということは、僕もよく知っている。


「戦闘もしない足手まといだった僕が言うのもなんだけど、リラちゃん、気にしなくても良かったんだよ。みんなで生き抜くことが僕たちの目標で、その中には当然、リラちゃんも入ってたんだから」


僕は今にも堰を切って泣き出しそうなリラちゃんを抱きしめて、背中を撫でてよしよししてあげる。本当なら彼氏を作って青春を満喫していたはずのリラちゃんも……そう言えば、こんなに可愛いリラちゃんが、何でフリーだったんだろう。まぁ、夏帆ちゃんの時にデリカシーがないって怒られたし、尋ねるのはやめておこう。


「リラちゃん、愛してるよ。僕の気持ちを受け取ってくれるかな?」

「もちろん、ええよ。タクミくん、うちも愛しとるよ……」


そして僕たちは、愛を交わし終えた。リラちゃんは、身体を起こすとにっこりと微笑んでくる。


「じゃあうちは、くるみちゃんを呼んでくるから、ちょっと待っててな。2人を愛してもらうん、楽しみやわぁ♡」


いたずらっぽくそう言うと、リラちゃんはそのまま廊下へと出て行った。えっ、八橋くんは厨房にいるとはいえ、大胆だな、リラちゃんって……


そして程なくして現れたくるみちゃんと、僕たちは男子には決して言えないお昼の愛しあいに突入して、2人をノックアウトしたのだった。


「やっぱり、タクミくんにはハーレムがちょうどええわぁ。こんなのを毎日されてたら、うちら壊されてまうよ♡ もちろん、タクミくんになら壊されてもええけどな♡」


リラちゃんは身体を起こして、僕のほっぺたに愛情のこもったキスをしてくる。まぁリラちゃんが記念すべき初体験を満喫できたようで良かったよ……そして僕に『性豪』というスキルがにょっこり生えてしまったことに気付いたのは、後日のことである。

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