第15話 千奈津ちゃんは特別な『お礼』をする。
僕は初体験をするために部屋を訪れてきた千奈津ちゃんと、濃厚なキスを交わし続けていた。ウィードさんとの果し合い、そして迷宮での無双を繰り広げてきた身体は、かなり興奮して熱を帯びている。それを冷ましてあげるために、僕は千奈津ちゃんへの愛情を注ぎ込んでいく。
でも、良いんだろうか。明日は日花里ちゃん、そしてリラちゃん、遥香ちゃんと、順番に僕と初体験することになっているらしいけど、本当は僕のことを独占したいんじゃないだろうか?
「んっ……タクミくんとはたくさんキスをしてきたのに、今日は何だか違うよぉ」
上目遣いに僕を見上げる千奈津ちゃんの瞳は、もうとろりとしていて、迷宮の魔物の命を刈り取ってきたように、僕の愛情を貪ろうとしているのが伝わってくる。
「みんなと違って貧相なBカップだけど、触ってほしいなぁ」
「そんなことないよ。とっても、素敵な身体だよ」
僕はもう一度キスをしながら、制服の上から柔らかい感触を確かめていく。僕が優しく触っていくと、千奈津ちゃんの口からは甘い吐息が漏れて、僕の体温も高めていく。
「ねぇ、タクミくん、じゃんけんしよう。私が敗けるまでだよぉ?」
「えっ、じゃんけん? この流れで?」
「必然なんだよねぇ。ほら、じゃんけんぽん」
僕は千奈津ちゃんの要望通りにじゃんけんをして、10回目でやっと勝てた。じゃんけん強すぎない? すると、じゃんけんに敗けた千奈津ちゃんはその場で土下座をし始めた。
「真剣勝負に敗けた女が首を差し出すのは当然のことなんだよねぇ……だけど、どうか命ばかりはお助けください……してほしいのぉ」
いや、何か口調が中途半端に時代劇っぽくなっちゃってるんですけど。僕の混乱をよそに、言いたい事を言い終えた千奈津ちゃんはさっさとベッドに上がって後ろ向きになると、僕を誘ってくる。
うーん、僕よりは千奈津ちゃんの方が思い出に残るべき初体験だ。ここは、したいようにしてあげよう。そして、僕たちは初めての愛を交わした。
「タクミくんの槍で討ち取られちゃったぁ……敗れて純潔を散らされた以上は、家のおきてに従って、タクミくんに生涯を捧げないといけないねぇ……」
ん? 今さらりとえぐいことを言わなかったか?
「千奈津ちゃん、家のおきてって?」
「うん、タクミくんが勝者で私が敗者だから、子種をもらわないといけないんだよねぇ。そうして、より強い子孫に朝倉流抜刀術を継がせていくんだよ? うちのお母さんも、学生の頃に剣道部の道場でお父さんに敗けて孕んで、退学して産んだらしいし」
うーん、それってお父さんがハニトラに引っかかっただけのような……とりあえず、千奈津ちゃんじゃなくて千奈津ちゃんの一族がヤバい発想の持ち主なんだってことは理解できた。この話題は封印して徹底的にスルーしておこう。
こうして僕は、千奈津ちゃんが求めるままに、たっぷりと愛してあげた。その結果、『私もすっかりお便所みたいな扱いにされちゃってねぇ』と事後の感想を朝食の場で言われてしまうのだった。
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