やさしさ

誰かに優しくされたくて

僕は優しさを振りまいた

無償の愛のように見せて

実のところ見返りを待っていた


君の涙を拭い肩を抱く

僕の手のひらが温かいのは

君を慰めるためじゃなくて

僕自身の冷えた心を温めるためだ


優しいねと言われるたびに

胸がチクリと痛む

本当は僕が優しくされたいだけなのに

その願いを言葉にできないまま今日を閉じた空に溶ける


僕のこの優しさは、偽りの仮面

誰かに求められる存在でありたくて

見栄えだけの善意を仮面に塗り込んだ


優しさはいつも戻ってくるわけじゃないと

気づいていながらも

今日も誰かに優しさをひとつ差し出す

誰もいない夜道で自分に問う

僕は本当に優しい人なのかと

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