第3話 新たな能力! 初めての危機
「能力かぁ」
俺は歩きながら考える。
俺の能力は時間操作だ。
「呼び名つけたいけど、なんかいいのないかなぁ。」
なんかゲームみたいに能力とかスキル名が表示されればいいのに...
「『鑑定』って言ってみたらステータス開いたり、なんか腕を動かしてみたらメニューみたいなの開いたりしないかなぁ」
ま、そんなことがあるわけないか
「俺、日向を『鑑定』...。」
ハハ。一人で何やってるんだか。
俺は天を仰ぐ。
「ん?」
なにか、浮いてる?
「前に持ってこれないのか?」
すると、その俺の上に浮いていた何かが俺の目の前に降りてきた。
「こ、これって。俺のステータス?」
俺にはどうやら時間操作以外に鑑定スキル、いや鑑定能力もあったらしい。
「能力、一人一つとかじゃないんだな。」
えーとどれどれ
「能力『時間操作』『鑑定』。名前そのままなのか。で、あとは、...げ、HPとかあんの?『10/10』。上限低すぎだろ。それと俺の体力『20/100』案の定低いな。」
レベルアップとかそういう概念はあるのだろうか?それとも経験を積めば積むほど比例して上がってくのか?
「...鑑定ってなろう系だとめっちゃ強いよなぁ」
俺、もしかしてめっちゃ強いんじゃね?
そう浮かれながら歩くのだった。
______________________________________
「にしても50kmか」
今、何キロぐらい歩いたのだろうか。
「なんか能力使って楽に行けないもんか」
さっきもらった短剣だって今なにか役に立たないだろうか。
「時間操作...ん?時間止めれるよな?もしかしてブ〇ワイみたいなことできる?」
物体の時間を止めて殴りまくり、力を貯めて吹っ飛ぶあれだ。
とりあえずさっきもらった短剣で近くにあった木を切る。
「なんの抵抗もなく切れたな。」
木がまるでハムのように切れる。
やっぱり凄い剣であった。
それとなぜか持ってるだけで力が沸き上がるような気もする。
「時よ止まれ!」
そして俺は時を止め。
「オラオラオラオラオラオラ」
と、一心不乱に木を殴りまくった。
時間が止まっているおかげかもしくは短剣にそういう力があるのか、手がまったく痛くなかった。
そして俺はその木の上に乗りしがみついて、一度は言ってみたかった言葉を放つ。
「そして今、時は動き出す。」
その瞬間、
「うg...!」
木が俺を連れながら勢いよく飛んで行った。
「俺、こんなに強く殴ったっけーーー!」
手も痛くないし、おそらく短剣のおかげだろう。
物体も"鑑定"できるのだろうか。
「うーーー。ライトナーキリング、『鑑定』...」
絶対に今やることじゃない気がした。
「『魔王の愛用する6つの武器のうちの一つ』!?愛用品じゃねぇか。特殊効果『使用者の全ステータスを大幅に上昇させる』か。」
概ね予想通りだな。
そして...、...そして、......『グラッ』と木が揺れる。
「...あっぶねー」
しがみついててよかった。
大体10分ぐらい飛行していただろうか。
木がバランスを崩し、スピードを落としていた。
「落ちてきてね?」
上空に滑空していた木が横方向のスピードを落とし、次は下方向へ加速し始めた。
「あばばばばばばばば。」
どうしよう。どうしよう。着地のことなんて一切考えていなかった。どうにかなるだろうと、そう思っていた。
「やばいーー!バンジージャンプよりやばいー!」
なぜそこでバンジージャンプが出てくるのかはわからなかったが、そんなことを考えている余裕はなかった。
そんなふうに慌てているととうとう地面がまじかに迫った。
「あ、俺ここで終わるんだ。」
そうたかをくくった、が。
「直前で能力使えばよくね?」
それとして
「まず俺と木を遅くして、ゆっくり考えることもできたよね?」
なんて俺は無能なのだろうか。
「とりあえず止めるか。」
そして地面ぎりぎりのところで俺は能力を使うのだった。
▽▽▽▽▽
「俺は天才なのかもしれない。」
なぜ俺がそう言ってるのかって?
そりゃあ
「村に着いたー」
降りたのがその言ってた村の近くだったのだから。
「村の名前とか聞いてなかったけどあってるよな?」
とりあえず俺は村に入ろうと足を向ける。
だがよく見ると村の入口には槍のようなものを持った人がいた。
「えーと、すいません。中に入りたいのですが」
ところが
「お前魔王軍の者だろう!そんなものを中には入れさせん!」
と、入るのを拒否されてしまった。
「はぁ!?なんでそうなるんだよ。」
「お前が空から降りてくるのを見たのだ!空を飛べるなんて能力持ちか魔王軍しかいない!そして近くには魔王軍の城がある!ということは...どういうことかわかるよな。」
「だから俺は...」
「しらばっくれるな!俺たちはお前らなんかに怯えない。...屈しない!」
これは、なにを言っても無理そうか。
今の俺なら力ずくということもできるだろうが、そんなことをしたら余計に入れなくなる。
どうしたものか。
そう考えているうちに
「なにも言わないということは図星だな!死ね!魔王軍!」
そう言って村人が俺に槍を突こうとする。
「あっぶね」
俺は間一髪のところで避ける。
「避けられたか。だが次は仕留める!」
「だから俺は違うっての!」
だが、その人は聞く耳を持たず再度俺に槍を突いてきた。
『ズルッ』
「あっ、やべっ」
俺は足を滑らし、転んでしまった。
「これで終わりだ!」
その男は俺にとどめを刺すように槍を刺突する。
...このままだと...っ!
「はぁ、しょうがない。」
本当は使いたくはなかった。だが、この状況...使わざるを得ないか。
ほぼ自業自得だが。
俺は目をつぶり、頭の中で呟く。
―――『時間停止』
その瞬間。その人はまるで置物のように固まるのだった。
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