第2話 転生後に初めて会ったのは人...ではなく魔王?
「なんだ貴様。俺たちに攻撃をしようとしていたわけではないのか」
話を聞いてみると、現在魔王軍と人間の争いが起きているらしく、どうやら俺の走っていたのが人間側の攻撃に見え、そこにいた俺を呼び止めたらしい。
「あ、聞きたいことがあったんだ。人間ってどこにいる?」
「人間...、村か...。ここからだと結構距離があるな...。大体」
「うんうん。」
「1000km...。」
「1000!?遠くね...。」
「そりゃあ、近かったら我らの攻撃をすぐ受けてしまうからな。」
マジか...。いや考えても見れば妥当か。トホホ...。
「ん?待てよ。たしかここから50kmぐらい先に小さな村があったな。本当に小さかったからそのまま放置しているが」
「さっきよりは近くなったが、それでも遠いな。」
能力を使っても50km走るのには変わりないしなぁ。
「あ、そういえば聞きたいことがある。」
「どうした?今日貴様とあったのは何かの縁だなんでも聞くがよい。」
「俺、違う世界から来たんだ。」
容易に言っていいものなのかはわからなかったが、話を聞く限り悪い奴ではなさそうなので俺は別の世界の住人であることを告げた。
「ふむ違う世界か」
魔王は案外驚いてはいない様子だった。
「初めてじゃないのか?」
「あぁ、たまに勇者とか言うやつが来るんだがそれのほとんどが他の世界。この世界では外界の者と呼んでいるがそういうやつがおるな。」
外界。そんな言葉が浸透してるってことはある程度の人数がいるってことか。
「魔王軍にはいないのか?」
「確か、一人おったな。名は『とうや』とでも言ったか...」
『とうや』名前を聞く限り日本人っぽいな。
「ぜひ会ってみたいものなんだが、村にも行ってみたいんだよなぁ。」
「ならまず村に行くがよい。あそこは弱小なのでな弱い野良の魔物につつかれただけでも消えてしまいそうなところだ。とうやならどうせ魔王城から動かないだろうしな。お前ならいつでも歓迎する。」
なんて懐が広いんだ...!
俺は一瞬ときめいてしまったが、
「そうか、ならいろいろやりたいことが終わったら向かうことにするよ。じゃあ」
と、冷静に反応し、行こうとすると
「お前その装備で行く気か?」
そう呼び止められた。
「だって何も持ってないんだから仕方がないだろ。」
「はぁしょうがない」
魔王はどこからか短剣を取り出し、俺に投げつけた。それは文字通り黒い光を放っていた。
「あっぶね!」
「それは俺の6本ある武器のうちのひとつ”光者斬首剣(ライトナーキリング)”。天界の者に与えるダメージが大幅アップだ。」
いや、とこぞの大戦争ゲームみたいに言われても...、というか天界!?空?憧れるなぁ。
「それってめっちゃ強いってことじゃ...」
「ハハハ遠慮するな。いいんだ俺には短剣が向いていない。なら俺より使えそうなやつに譲るのはあたりまえだろ?」
魔王は笑いながら言った。いや笑い事じゃないんですが。
「まぁ、そういうことだ。肌身離さず持っててくれよ?」
「こんな物もらって、無粋な真似できるわけないだろ...。」
「そうか。ハハハハハ!まぁなんだ。また来たくなったらいつでも来るといい。さっきも言ったが俺はお前を歓迎する。」
え?なにこの魔王。かっこいいんですけど。
「あ、ありがとう。」
会ったばかりだが別れが惜しくなるな。
「分かった。何かあったら報告しに行くとしよう。じゃあ、行って来る。」
「おう!」
そして俺は走り出そうとし
「あ、そういえば」
聞くのを忘れていたことがあった。
というか一番忘れちゃいけないものだった。
「この世界に能力とかスキルとかってあるのか?」
「あー外界の者は稀に特別な力が宿っていると聞くな。とうやにもなにかあったはずだ。人はそれを能力と呼んでいるらしい。」
やはりあったか。
「教えてくれてありがとう。それじゃ、行ってくる。」
「気をつけてなー」
いや親か!
そうしてその運命的な出会いは幕を閉じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます