第87話


ふむ……



全くそそらんな。



俺にはヒロと結婚する前、女の恋人も居た。どれも美人だったけど、ヒロには適わないな。



なんて思っていると、



「周、邪魔」とヒロのちょっと鬱陶しそうな声が聞こえ、ヒロは掃除機を引き寄せてきた。



「ああ、すまん」ソファから落ちていた俺の足ソファに上げて、ヒロは掃除機をかけていった。



きっちり掃除機を掛けると、ヒロは寝室に移動していこうとする。



その細い背中を何となく見送っていると、ヒロは床にゴミでも落ちていたのかちょっと屈んだ。



シャツが上にまくり上がって、ジーンズからきゅっとしまったウェストが覗いている。



ふむ。



俺はこっちの方がそそられるけどな。



ヒロってバカだよな~♪



こんな狼の俺様の前であんな無防備な姿さらけ出して。



食ってくださいって言ってるようなもんじゃないか♪



俺はヒロジを投げ出して、何も知らないヒロの背後に迫った。



ヒロが気配に察したのか慌てて振り向くも、もう遅い。



しかも目の前は寝室だ♪




俺が強引にヒロを寝室に追いやると、ヒロは



「何だよ!俺は掃除の途中なんだよ!お前はヒロジと遊んでろ!!」と喚いた。



「だってヒロジは喋らないし、あったかくないし、動かないし」



なんて当然のことを言って俺は背中からヒロをベッドに倒した。



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