第85話


「じゃ、行って来る。周は非番だっけ?」



朝7時20分15秒―――



ヒロは玄関に行って、靴を履く。



「ああ。今日はお前の日常観察日記をまとめることにする」



「また意味不明なことを…何だよ、観察日記って。まぁツッコむ俺が間違ってるか」



なんてため息を吐いて出かけようとするヒロの背中を見て、こいつのケツを軽く撫でる。



「突っ込むのは俺の専売特許だ。お前は大人しく抱かれてろ♪」



ヒロがびっくりして振り返り、その5秒後にはパンチが飛んでくる。



俺はそれをあっさり受け止め、ついでにヒロを抱き寄せる。



こうして俺はヒロを抱きしめては、俺の愛用している香水がヒロに染みこめばいいと思っている。



マーキング…じゃないけど、これは俺のモノだ。そんなつもりで。



「行ってらっしゃいハニ~♪」



行ってらっしゃいの濃厚なチューをすると、ヒロは大人しくなる。



ホント。



可愛いヤツ♪



唇を離して、



「行って来ますダーリン♪のハグは?」と聞くと、



ヒロは形の良い眉をちょっと吊り上げて、俺を睨んでくる。



「言うまで離さないぜ?」ぎゅぅとヒロの体を抱きしめると、こいつはちょっと息苦しそうにもがいて、



それでも過ぎ行く時間には勝てないのか、



「……行って来ます。………ダーリン…」とぶすりと呟いた。



やっぱり不機嫌??



と思いきや―――ヒロは顔を赤くして、慌てて飛び出していった。



可愛いヒロの反応に



俺は胸キュン♪






時間は―――朝7時25分40秒。




日常が始まる。



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