第82話


柔らかそうなサラサラ黒髪。



長い睫が縁取る少し大きめの目は猫のようだ。だけど不思議と優しそうに見える。



すっと通った鼻筋に、淡い色が浮かんだうまそうな唇。



ヒロは28だが、実年齢よりも5歳ほど若く見える。



大人の色気を滲ませているのに、少年のようなあどけなさと、女のような可憐さを滲ませている。



そのアンバランスな美貌が、危うくも美しい―――



俺がこの顔に一目ぼれしたのも言うまでもない。



ヒロは自分が平凡な男だと言うが、その顔自体すでに“非凡”だぞ?




ヒロは俺に背中を向けながら髪を乾かしている。



俺はヒロの体はどこでも基本好きだけど、特に好きなパーツはこいつの背中だ。



無駄な脂肪がついていないきれいな背中はすべすべと肌触りが良くて、まるで陶器のよう。



まるで本当に羽が生えてきそうなくっきりと浮かんだ肩甲骨。



あの背中にキスをしたい。舌を滑らせたい。なんて妄想を膨らませてると、



「何見てンすか」



鏡の中で目が合い、ヒロはあからさまに視線を険しくさせた。



「キミの可愛い姿さ。ハニ~♪」



チュッと軽くキスをすると、きゅっと唇を結びながらもヒロは頬をピンク色に染めてちょっと顔を逸らす。



露になった細い滑らかなうなじもほんのちょっと染まっていた。



あ、照れてる。



可愛いヤツめ!♪



ここで選択その①:このまま調子に乗って押し倒してみるか?



選択その②:いやいや、本気で殴られそうだからやめておくか…



とりあえずここは、選択その①を選んでみた。



だって目の前にごちそうがあったら食わずにはいられないだろ?





と言うわけでいっただきま~す♪♪





結果→本気で殴られたわけだけど(泣)



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