第72話


『カレシに向かって死ねはないだろ?相変わらずひでぇな』



電話の向こうで周が苦笑する声が聞こえる。






「お前は俺のカレシなのか―――?比奈のことを探りたいために俺に近づいたんじゃないのかよ?しかもホストクラブの経営だとか嘘までつきやがって。



他にいい訳があるなら聞くけど?



何で俺に近づいた?」






周はちょっと低く笑い声を漏らすと、






『顔!人間は美しいものに惹かれる生き物だ



つまり俺はヒロの顔に一目ぼれした』






と、ズバリ言い切った。





はぁ。さいですか。





『ホストクラブの経営だが、俺は嘘をついたわけじゃないぞ?誰が俺様の職業だと言った?ホストクラブ経営は従兄弟だ』



こ―――…の減らず口が!!



しかも、顔って………一目ぼれって…



俺がバカだった。少しでも、あのクールでいかにもデキそうなキャリア刑事がアイツの本当の姿かも…って思ったけど、





素!こいつはこっちが素だ!!



間違いない!






つまりこいつは俺の思った通り―――正真正銘の変態で、意味不明野郎だったわけだ。



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