第71話


「円周率………」



それは閃きに近かった。



よほどのバカでない限り誰でも知ってるはずのその数字。







円周率は3.14――――






ほとんど迷うことなく俺はケータイをプッシュした。



“0314”



『ハロ~ハニー♪遅かったな』



ロックが解除され、最初に聞こえてきたアイツの声は聞き間違えるものではなく―――



紛れもなく周本人のものだった。



「―――って言うかそのハニーってのは何だ!」



思わずいつも通り怒鳴り返してしまって慌てて口を噤む。








『じゃぁこっちがいいか?俺の愛しのヒロ♪』







「死んじまえ」





あまりにも普通の声に―――俺は拍子抜けした。




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