第70話


俺は周の番号を知らない。



ってことはアイツが勝手に入れたに違いない。



でも…



周―――!!



裏切られたという事実よりも、真実が知りたくて俺は通話ボタンを押していた。



だけどロックが掛かっていて、通話が開始されない。



!!



“キー操作ロック。暗証番号を入力してください”



またもディスプレイに無情な一文が表示され、俺は



「またかよ!!くそっ!」と舌打ちした。てか普通ロック掛かってても通話には出られるんじゃ??でもどこをどうタップしても反応しない。くっそ!どうなってやがる!



ケータイの着信は鳴り続ける。



これは周が設定した暗証番号だ。あいつに関係するもの…



あいつと出逢った日にち?



―――は、前に試したけど違った。俺の誕生日でもないしIDナンバーでもない。



鳴り続ける着信音に、焦りがつのり俺の手のひらにじっとりと汗が浮かんだ。



何だよ、何の番号だよ…



頼むよ!開いてくれ!!



今アイツと話さなきゃ―――俺はもう二度とあいつの本心を聞き出せない。




アイツに気持ちを伝えることもできない。







周―――!!!







心の中で周の名前を呼んで、俺は目を開いた。





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