第22話
「いえ、それだけは遠慮しまス」俺はきっぱりと言い返した。
「何でだよ、金持ってんし顔だって申し分ないぜ?退屈にはさせねぇよ」
いえ……あなた…根本的に間違ってます…
「あんたの考えは分かったけど、俺には俺の世界がある。あんたオトコだろ。俺はそっちの趣味はねぇの」
俺をあんたの世界に巻き込むんじゃねぇ!
そう言って睨むと、
「その考えがつまらねぇって言ってんだ。男と女しか恋愛できねえっていう定理は誰が決めたよ」
と、周は眉間に皺を寄せ、いつになく真剣に俺を見据えてきた。
その真面目な表情に一瞬、ドキリと心臓が跳ね上がる。
「いえ…誰がって……それはその…」
またも俺が口ごもると、
「あ?言ってみろよ」と低く囁いて、周は切れ長の目を細め、俺の顎に手をかけた。
や…ヤバい……その角度…ちょっと色っぽいんだって!
俺は慌てて顔を逸らすと、
「知らねぇよ!」そう怒鳴りながらビールを煽った。
何なんだよ!
ありえねぇって!
俺はオトコで周もオトコだ。
それなのに―――俺は不覚にも……
一瞬だけ恋に堕ちそうになってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます