第4話


俺はため息をついてビールを煽った。



「お♪いい飲みっぷりだな~、ま、どんどん明けろよ。今日は俺のおごりだ♪」と隣の男はにこにこ。



変なヤツ……



ま、こうゆうところに一人で来てるからこいつもフられた口だろう。



こんな何もかも揃ってる男でもフられることってあるんだな。



「あんたも気の毒にな」



俺は勝手に同情して失恋組に入れると、グラスを合わせた。



男は一瞬何のことか分からないような顔できょとんとして、やがてゲラゲラと笑い出した。



「なに、おたく俺が失恋でもしたって思ってるの?」



「何、違うの?」



「生憎フられる相手もいないんでね」男は軽く肩をすくめる。



「へぇ、フリー?もったいねぇな、そんなルックスしてんのに」



「今はな。でも今夜できるかも♪」



男の意味深な発言に、俺は首を傾けながらもビールを飲んだ。



変なヤツ。



そう思いながらもやっぱり四年間の思いを断ち切るために、何もかも忘れたい為に



ビールを飲み込んだ。



忘れたい…



そんなことを考えていたからだろうか、この変な男の意味深な笑顔が、香りが




俺の脳裏に焼きつく。



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