第8話 学校の人気者の時末さん
「いやー初めて見ましたよ自殺なんて」
できるだけ、のん気な声を出すように努める。内心の焦りを隠すように。
まだ事実を直視できていない感覚がする。この焦りが喉元を超え現実だと理解できればパニックになること間違いなしだ。
結構限界ギリギリだよ僕。
「ふふ、奇遇だね俺もだよ」
そう言う先生も膝が震えている。先生も実は焦っているのだろうか。
……いや、走り疲れたから震えているのかもしれない。今年29歳になるおっさんだもんなぁ……
いや、そんなことを考えている場合じゃない。どうやってこの事態を解決させようか。
「えっとどうします?」
「とりあえず、双眼鏡もってるから見る?」
「なんで持っているんですか、というツッコミは後にして。すみません、双眼鏡お借りします」
先生の持ってきたカバンから取り出された双眼鏡を受け取り、屋上の少女を見る。
少女は我が校の制服を着こなし、スカートは膝上3センチ、その下にスパッツが見え隠れしている。髪は後ろで括り付けポニーテールのようだ。
夕日が逆光になっているのであまり良くは見えないが、顔は綺麗系というよりも可愛い系だと思う。
「なんか、どこかで見たことあるような顔ですね」
「うっそ。アンリエット君しらないの!?彼女は我が校のエース、3年B組 時末 真ちゃんだよ」
「有名人なんですか?」
「陸上部部長、そして陸上女子全国間違いなしの実力者。この学校で知らないのはぼっちのアンリエット君ぐらいだよ」
「ぼっちは関係ないでしょうよ。それでまた、なんでそんなすごい人が自殺なんてしようとしているんでしょうか」
「さぁ?名誉と尊敬をほしいままにしていると言うのに何が不満なんだろうね。俺にもわからない」
「このまま屋上に突撃して、『自殺なんてやめるんだ!!』的なことをしますか?」
「今の今まで名前も顔も知らなかった人にそれをやられてもなぁって感じしない?」
「確かにそうですね。結構手詰まりですねー」
「そうそう、彼女今何してる?」
「えーと……携帯いじってます」
「え?なんで?」
「さぁ?最期に誰かに連絡でもしているんじゃないんですか?」
「『今から飛び降りるよ。☆(ゝω・)vキャピ』的なメールでも送ってるのかな?」
「そんなテンションの自殺者がいてたまるか」
「それでこのままだと彼女は飛び降りること間違いけど、アンリエット君はどうするの?」
「え……」
瞬間、脳裏に血まみれになった時末さんの姿が思い浮かんだ。そしてそれがそれが妄想ではなく、スグにも起こり得る現実だと理解してしまう。頭に溜まっていた非現実的感は血流と共に現実感に引きずり落とされ、ギリギリだった僕の心は思い出したかのように焦りを吹き出し始める。
「やばいじゃないですか!!と、止めないと!!先生こそなにしてるんですか!!」
「ちょっとアンリエット君落ち着きなよ」
先生は狼狽した僕の姿を見ても何も動じない。それどころか少し笑っているようにも感じた。
「だからってどうしたら!」
「それもそうだよね……そうだ!!」
そう言って先生はバックから何かを取り出し。某国民的ロボットキャラのような口調で『け~いた~い~でんわ~』とぬかしやがった。殴りたい。
「そんな目で見るなよアンリエット君。時末さんにメールをしようぜ!」
「メール!?なんですか!?」
「とりあえず、彼女の邪魔しないといけないわけでしょ?じゃあ、メールをだしちゃえって感じ。メールで受け答えしている間は飛び降りることはないだろうし」
「理にかなっているような、かなっていないような」
「とりあえず………………えいっ!!」
「ん?何したんですか?」
「メール送信した」
「行動が迅速ですね!せめて何か相談的なものをしてくださいよ!!」
「だって相談したらアンリエット君絶対とめるじゃないか」
「…………一体なにを送ったんですか?」
「これ見て」
そう言って先生は携帯の画面をこちらに向ける。
『ハーイ?時末さん?元気?僕だよ僕、わかる?わからない?わからなかったら当ててみて?ヒントは「あ」から始まるよ^^』
「なめてんですか!?」
最大音声でツッコミを入れた。
「何ですかこれ!!うざい!!すごくうざい!!!自殺するひとに向かってなんてもんを送りつけてんですか!!!!こんなん見たらイライラマックスですよ!!!つか、誰が送ったかわかるはずがないじゃないですか!!!」
「まぁまぁ、落ち着いて」
「誰のせいだと思っているんですか!!というか「あ」から始まるって僕のことですよね!?そうですよね!?」
「うん、君が送りそうなメールを想像して送ってみたんだけど、どうかな」
「全然ちがいますよ!!」
「まぁ、落ち着きたまえ。今最も重要なことは冷静になることだよ。それで時末さんはいまどうなってる?」
「........」
そう言われて渋々双眼鏡を覗き込む。時末さんは携帯をずっと眺めて動かない。
その表情に困惑が見て取れるのは気のせいではないだろう。
「えっと、困惑しているように見えます」
「やったぜ!!作戦成功!」
「ええ~?」
「今最も重要なことは自殺までの時間をできるだけ引き延ばすことだよ、対策を考えるのにも時間がいるだろうし。このままメールについて考えてくれたら結構な時間稼ぎができるはずだ」
確かに……そう言われると理にかなっているように思える。のかな?
「この時間でとりあえず、現状把握をしようじゃないか」
「……わかりました」
「いまはどういう状況だい?できるだけ具体的に説明してほしいな」
「……僕たちは今第一校舎の3階にいます。時末さんは向かいの校舎、第二校舎の屋上で今にも飛び降りそうです。ここから屋上までには走って3分はかかります」
「時末さんはどこに飛び降りようとしている?」
「……時末さんはちょうどこちら側を向いています。このままですと第一校舎と第二校舎の間にある中庭に飛び降りるでしょう」
「時末さんが飛び降りたらどうなる?」
「……時末さんの真下はコンクリートになっているので、そのまま落ちるとコンクリートにぶつかること間違いなしです。人が何階から飛び降りたら死ぬだなんてことは僕にはわかりませんが、そのまま飛び降りたら大惨事は間違いないでしょう。ですが、中庭の中心側には様々な植物が植えられているので、そこに落ちたらなんとかなるかもしれません」
「なるほど、もし落ちても強風とかで芝生や植物の上に落ちることができたら骨折程度で済むかもしないね」
「その可能性はあるかもしれません」
「ふむふむなるほど。さすがはアンリエット君。見事な分析だ」
「僕、アンリエットじゃないので。悪しからず」
ブブブブブブ
先生が持っている携帯が震えた。
「あ、もうメール返してきたのか。早いな、さすが女子中学生」
「なんて書いてます?」
『えーと、もしかしてアンリエットくん?(汗 』
「なんでわかるんだよ!!!」
もしかして僕ってあんなメールを送りそうなやつだと思われてるのか!?
なんで僕のこと知ってるんだよ!!いや、そもそも僕はアンリエットくんじゃねーよ!!
「ああ、それはこの携帯のメールアドレスを”アンリエット.co.jp”みたいな感じにしておいたからだと思う」
「ほんと何してんだあんた!!」
「いつか必要になる時がくると思って。実際今必要になっただろ?」
「先生が自分のメアドを使って連絡しても一緒だと思いますけど!?」
「ハッハハハハ、それで何が面白いんだい?」
改めて感じる。この先生は発想が色々ぶっ飛びすぎている。
「それでなんてメール返す?」
「え、先生が決めてくださいよ」
「いやだよ、それにこのメールはアンリエット君が送ってることになってるだろ?」
「またハメましたね……」
「なんとも人聞きの悪いこと」
「とりあえずいまは時間を稼ぎましょう、携帯貸してください」
ほいさという掛け声とともに携帯を渡してくれた。僕はそれにぽちぽちと文字を打ち込む。
慣れていからどんな内容を送ればいいのか分からない。交友関係の狭い僕にはメールなんてあんまり使わないから仕方がないことだと思う。
「はい、送りましたよ」
「えっとなになに……」
『え、僕のこと知ってるんですか?いがいですね』
「なんだこれ」
「先生に言われたくないですね」
「いや、もっと他になにかあっただろ。飛び降りに関することとか」
「……」
ブブブブ
「あ、メール返ってきました」
『えっと、そもそも君が名前を当ててみてってメール送ったじゃん(笑)
それで「いがいですね」だなんておかしくない?(笑)
それにアンリエットくんはすっごく有名人だし』
「え、僕って有名人だったんですか?」
「ああ、実はファンクラブあるぐらいには有名人なんだよ君。『アンリエット君庵々』っていうクラブ」
「うそでしょ!?」
「ちなみにそのファンクラブの会長は俺ね」
「そして会員も先生だけってオチですね」
「おお、すごいな。なんでわかった?」
「冷静に考えてファンクラブなんてできるわけないですから」
「見事な推理だ」
「それにしても時末さん、今から死ぬのに(笑)とか使ってますよ。女子中学生の上っ面怖い」
「確かに、こんな状態だというのに妙にテンション高いな……それで次はなんて返すの?」
「えっと『有名人って時末さんほどじゃないですよ。なんだって時末さんは陸上部のエースなんですし』っと。……送信」
「今の今まで知らなかったくせに」
「うるさいですよ」
ブブブブ
「さすが女子中学生メールを返すのが早いな、なんて書いてる?」
『そう言ってくれると嬉しいな!そういえばアンリエット君はなんで急にメールを送ってきたの?というかなんで私のメアドしってるの?』
「あー、そりゃあもっともな質問ですね、というかなんでメアド知ってたんですか?」
「えっと、覚えてないかな。いつのまにか知ってたとしか俺からは言えない」
怪しすぎる。
「……教師ですよね?」
「……まてまて、言わんとすることはわかる」
「もし自殺の原因に先生が関わっていたら一生軽蔑しますから」
自分でも恐ろしいほど冷たい声が出たと思う。
「あーうん。大丈夫だって」
それは僕に向けた言葉のように感じ取れなかった。
「それで何て返しましょう」
「えっと、『君が屋上にいるから何してるのか気になってメールしましたー』とかでいいんじゃない?」
「おお、ガンガン攻めますね。それで行きますか。……送信っと」
ブブブブ
『見てるの?』
怖い!!なんか鳥肌立った!!
「うおっ、急にテンション下がると怖いなこれ。さすが女子中学生」
「さっきからさすが女子中学生って言い過ぎじゃないですか?」
「アンリエット君彼女の様子はどうだい」
双眼鏡を覗き込む。時末さんはキョロキョロしている。僕を探しているようだ。
「あー僕を探していますね。これ完全に」
「うんうん、なるほど。とりあえず、窓から見つからないようにしゃがんで隠れよう」
「そうですね」
「それで返信しなくていいのかい?」
「ああ、そうでした。えっと………………送信っと」
「何て書いたの?」
『ずっと見ていました』
「こっわ!!!アンリエット君こっわ!!!」
「なんでですか!?普通じゃないですか!!」
「いや、これ完全にストーカーのそれじゃないか!!!うわ、こっわ、アンリエット君素質あるわ~ストーカーの素質あるわ~」
「さっきからうっさいですよ!!」
ブブブブ
「あ、メールきました」
『そっか~見てるんだ~なるほどね~。じゃあ、私が何しようとしているのかわかるよね。わかった上でメール送っているということだよね。なに?なんなの?ちょっかいを出したいの?』
「ああ、これ完全にキレてますわ。アンリエット君やってしまったね?」
「そんなに?さっきのメールそんなにダメでしたか?!」
ど、どうしよう。
「いや、これは逆にチャンスだ。怒りという感情は自殺から遠ざけるはずだ。……たぶん」
「そ、そうですよね!!怒りながら自殺するって人なんて聞いたこともありませんから!ハハ……ハハハハハ……」
「ハハハハ……えっとなんて返す?」
「どうしましょう……」
「とりあえず、なんで自殺っぽいことしているのとか、そういう情報を集めるんだ!」
「な、なるほど!!そういう方針でいきましょう!!『貴女のことを邪魔するつもりはありません。僕はただ単に何で自殺しようとしているのか気になっただけなんです』っと。……送「まてぃ!!」
「な、なんですか!?もう送っちゃいましたよ?!」
「いや、それはいくら何でも直球すぎないか!?もうなんていうか君、死神みたいな雰囲気でてるよ!!」
「死神!?」
ブブブブ
『理由を話す必要ありますか?縁もゆかりもないあなたに』
「そりゃそうなるわ!超ブチギレじゃないか!」
「やばっ!!どうしよ」
「携帯を変わってくれ!……送信っと」
「なんて送ったんですか?」
「『僕がアンリエットだし、理由ぐらい教えてもらえるかなって』って」
「なるわけないでしょーが!!先生にとってアンリエットって一体何なんですか!?」
「う、うるさいぞアンリエット君!!」
ブブブブ
『自意識過剰すぎない?それとも私を舐めてるの?』
「ヒィッ!!ブチギレモードじゃないですか!!」
「落ち着け!それが目的だ!!もっと怒らせて自殺を忘れさせるんだ!」
「あっ!そうか!怒らせるんだった!!任せてください」
「凄く不安なんだけど」
「先生!送信しました」
「なんて書いた?」
「『うんこ』」
「正気かお前!?」
「なんでですか怒らせろって言ったのは先生ですよ!」
「いや、もっと他にやりようがあっただろ!!うんこなんて今時小学生でも言わんわ!!」
「でももう送っちゃいましたよ!!どうしようもありません!」
「なに開き直ってるんだよ!!」
ブブブブ
「返信……来ましたね……」
「ああ……どんな反応なのか逆に楽しみではある……」
『え、なにこれ。こんなの送られたの生まれて初めて。どう反応したらいいのか全く分からないのだけど』
「だろうな!!俺も意味わからないんだもん!!アンリエット君はサイコパスの才能あるよ!」
「僕はサイコパスなんかじゃないですよ!!」
「てか、どうするんだよ。もう怒りを通り越して呆れになってるじゃないか」
「先生、ちょっと待って下さい。このメール続きありますよ」
「続きだと!?」
メールの文章をスクロールさせて続きの文章を読む。
『もしかして、私を怒らせるのが目的?』
「うわぁ!!バレてる!!バレてますよ先生!!」
「あ、あわてて てるな」
「先生のほうが慌ててませんか!?どうするんですかこれ!?」
「知らねぇ!!俺は知らねぇぞ!!アンリエット君が全て悪い!!」
「そんな無責任なことあります!?先生が怒らせろなんて言わなきゃこんな事になってませんよ!」
「その理屈もおかしいだろ!アンリエット君がサイコパスじゃなかったらもっと良い結果になってたわ!!」
「だからサイコパスじゃないですって!!」
「と、とにかくアンリエット君、返事を送ってくれ!」
「えっと、どんな内容を送ればいいですか?」
「怒らせる目的はないという感じのメールを送るんだ!!」
「なるほど…………送信」
「なんて送ったのアンリエット君」
「『別に怒らせて自殺を遅らせようとする魂胆なんて全くありませんよ』って」
「馬鹿野郎!!」
「え!?何が悪いんですか!?」
「本気か?!本気でそれがわからないのか!?」
「いや、だって言われたとおり……」
「もう一度自分の文章を読んでみろ!」
「えっと…………目的がモロバレじゃないですか!!」
「そうだよ!アンリエット君のバカ!!こ、これどうなるんだ!?」
ブブブブ
「先生……メール届きましたよ」
「見るのが怖いの……」
「そんなこと言ってられないでしょうに……読みますよ……」
そう言って二人でメールの画面を覗き込む。
『アッハハハハハハ、アンリエットくんって本当に面白いね。自殺を止めるために怒らせようだなんて、普通の人には思いつかないよ。そうそう、アンリエットくんってもしかして向かいの校舎の3階にいるのかな?』
「…………」
「…………」
黙って立ち上がり窓越しに屋上の方を見上げた。そうすると時末さんが大きく手をふってきた。
僕は引きつった笑顔でゆるく手をふって返事をした後、時末さんから隠れるように静かにしゃがむ。
「……どうだった?」
「手、振られました」
「…………」
「…………」
「「ばれてるじゃないですか(じゃねーか)!!」」
「えっ、えっ、どうするんですか!?」
「お、おおちつけ。別にバレたってどうでもいいだろ!?バレたからって何か問題でもあるのか?無いだろ!?」
「えっ!?いや、たしかにそうかもしれませんけど……」
「ところでさ……アンリエット君、俺のこともバレているかな……?」
「先生が一番ビビってるじゃないですか!!男ならもっと胸を張って生きてくださいよ!!」
「いや、だってなんか怖いんだもん!」
「オッサンが"だもん"って気持ち悪いですよ」
「うるさいわ!」
ブブブブ
「……メール届きましたね」
「ああ……なんて書いてるんだろう」
『顔、覚えたから』
「なんで時末さんはこんなに怖いんですか!!」
「よ、よかったな。この学校の人気者の時末さんに顔覚えてもらえたじゃないか!」
「いや、何もよくないですよ!どうするんですかこれ!!メールから怒りの感情がにじみ出てますよ!」
「怒らせるのが目的だからいいんだよ!」
「いや、思い出してください!怒らせるのは時間稼ぎのためだったじゃないですか!!」
「あ……あっ!!!いつの間にか目的と手段が入れ替わってたわ!!」
「え、ええ……!?一体なんのためのメールなんですか!?この時間稼ぎ無意味じゃないですか!!むしろ怒らせた分マイナスなんじゃないですか!?」
「いや、この時間のお陰で名案が思い浮かんだ!」
「名案?どういうものなんですか?」
「クッションだ!クッションを用意してくる!」
「クッション?」
「防災訓練用に高所から飛び降りる人を助けるクッションがあったはずだ。それを彼女の真下に設置したら」
「ああ!!なるほど!!彼女が飛び降りても安心ってことですね!!」
「そういうことだ!!」
本末転倒感溢れるが、なかなかの妙案であると思う。
「とりあえず、俺はクッションを用意して彼女の真下に設置する。それまでどうにかして時間を稼いでくれよアンリエット君」
「……わ、わかりました!まだ頑張ります!」
「ああ、頼んだ!じゃあ行ってくる!あとは任せた」
そう言って先生は時末さんに見つからないように、しゃがみながら走り出した。
「…………あっ!!」
あの先生、逃げやがった!!どうするんだよ!!これから先は僕一人で相手しろってことか!?
「これで開放されたぜ!ヒャッポウ!!」と遠くから声が聞こえた。
あの先生……あとでパンチの一発は入れてやる。
ブブブブ
「ヒッ」
またメールか、一体何を書いてるんだろう。時末さんはすっごく怒ってるっぽいし、もし今から貴方を殺しに行きますとか書かれていたらどうしよう。いや、流石にそれはないか。ははは。
覚悟を決めてメールの中身を確認する。
『今からアンリエット君を殺しにいきます。待って下さい。』
「うわああああああああああああああ!!」
うわああああああああああああああ!!思わず心の中で叫んでしまった。
怖いよ怖いよ!!本当に!?本当にそんなメールが来るの!?嘘でしょ?!あれか!?フラグになっていたのか!?そうだよね!今思えば露骨すぎるフラグ立てだもんね!!チクショー回収早いなおい。
ブブブブ
携帯がまたしても震える。なんだよ!!次はなんだよ!!
『ってメールが時末さんから届いたらアンリエット君どうする?あ、さっきメールの差出人は俺だよ』
決めた。パンチは2発入れる。
もう絶対に許さん。
ブブブブ
次はなんだよ……いい加減にしろよ……
『まぁまぁそんなに怒るなよアンリエット君。
俺は俺の仕事を果たす。
だから、時末さんはアンリエット君に任せた。
彼女の命は君にかかっている。君から時末さんに命の大切さを教えてやってくれ』
「命の大切さ……?」
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