第46話 決戦は何曜日?
家、もとい、愛の巣に帰った後は、買った家具や食品を手分けして片付けをした。
家の中も寂しくなくなったように思う。
片付け終わった後は、また例の部屋で足枷をはめられた。
「じゃあ、私は夕ご飯を作ってくるわ、好きなことをしていてちょうだい」
「うす」
さて、アムエルも部屋から出ていったことだし、僕はアムエルに買ってもらったゲームでもしようかな…って違ーう!
何が買ってもらったゲームだよ!
今の発言は完璧ヒモ発言だよ。このままだと本当にヒモだよ。しかも綱引きとかで使われるような頼りがいのあるヒモじゃない、頼りがいのないほっそいヒモだ。
ヒモなのは体型だけにしておきたいよ。
いや、正直な話さ、このままでもいいんじゃないかなって思ったこともあるんだよね。でもさ、絶対うまくいかないと思うんだよね、お互いによくないと思うんだ。
それに僕はもっとこの世界を楽しみたいんだよね。
この小さな
なので、僕はこの家から、いや、この状況から抜け出す妙案を考える必要がある。
ここで、もう一度考えてみよう。
アムエルは僕にこの家にいて欲しいわけだ。
なぜなら外が危険で、他の女の子と仲良くして欲くないと。
一方の僕はこの足枷を外して、また学校に行きたい。
つまり…なんだ?
うーむこうして考えるのはやっぱり苦手なんだよなぁ。
これがノーシャだったら、適当にパンツでもあげとけばいいんだがなあ。
確実なのはお互いの要望は相容れないということだね。
僕としては妥協点を探して、平和的に解決したいところだが、アムエルにはそれをする必要がない。
うーん、詰んでるねこれ。
詰んでる
ツンデレ猫。
猫と言えばやっぱりツンデレだよね。
…うまくないダジャレはさておき、とりあえずこの家から逃げる算段を立てるとしよう。
まず足枷だ。
鉄の足枷。もちろん僕の力ではどうすることもできない。
しかし繋がれているベットの支柱はその限りではない。木製だ。
だからと言って生身で壊せるかといったらそれは現実的ではない。
この部屋の中で何か使えるものはないだろうか?
ゲーム機のコントローラー?
無理だね、というか、やりたくない。
プラスチックのコップ?
これも無理、プラスチックが割れる方が早いだろう。
探しているうちにふと目についたものがある。
僕の制服だ。
なぜか一日しか学校は休んでいないのにもかかわらず、妙に学校が懐かしく思う。
気持ちの問題かもな。
制服の胸ポケットには先輩から頂いた花がまだ刺さっていた。
手に取ってよく見てみる。
ん?花びらの隙間に何かがある。
これは、メモと…魔道具か!指輪型だ。
ありがたい!この状況をひっくり返せるような物だと嬉しい!
メモには魔道具の詳細が具に書かれていた。
…
……
………なるほどね、この魔道具であれば、可能なわけだ。この家にある、付与されている特性を打ち破ることができると。
まるで聖女の手のひらで踊らされているようでどうにも釈然としないが、この状況では聖女の手のひらで踊るしかない。
いいだろう、踊ってやるよ、ソーラン節でいいか?
「あなた、ご飯よ」
「うおっと!びっくりした!」
「そこまで驚くことかしら…というかその恰好は何?バカみたいね」
「ソーラン節だ」
「ソーラン節が何かは、知らないけれど、そんな恰好も素敵よ」
「ありがとう」
「ご飯できたから、足枷外すわね」
アムエルはかがんで、僕の足枷を外そうとする。
「はいはい。ところで、今日の晩御飯はなに?」
「鳥むね肉の南蛮漬けよ」
「…鳥、好きなの?」
「あなたも好きでしょ?鳥」
アムエルはそう言って自分を指さす。
「…もちろん好きだよ」
「ちょっと間があったけれど、まぁいいわ」
そうして僕らは食卓テーブルに向かう。
今晩で、勝負が決まる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます