第44話 護衛はどうした護衛は!

…おはよう、諸君。


本日、天気は快晴。気温もちょうどよいくらい。


とても清々しい朝である。


僕の足についている足枷さえなければね!


アムエルはもう起きているようで、僕の横にはもういなかった。

なぜか口の周りがべとべとしている気がするが、恥ずかしながらよだれをたらしながら寝てしまったのかもしれない。


して、寝て起きて、スッキリした頭で思いついた、この状況を打開できる妙案を発表しようと思う。


ノーシャを呼べばいいじゃない。


何のための護衛だよまったく。こういったときのために雇ってるんじゃないか。セクハラされるためじゃないぞ。


ベラに襲われた時は助けてくれたのに。

いや、あの時は大声で助けを呼んだから来てくれたのかもしれない。

呼ぶのが発動条件?いや、召喚条件といったところかな。


では、さっそく、僭越ながら。


「すぅーーーーーーーーーーー、助けてえええええええええ!ノーシャぁぁぁぁあああああ!!」


「…」


「あれ?」


こない、だと?さすがに厳しかったか?


でも、おそらく、僕を探してはくれているだろう。一晩家に帰っていないのだ。ノーシャはやる時はやる女、行動を起こしてくれているはず。


え?携帯を使えばいいじゃないかって?

はは、取られているにきまっているじゃあないか。


「猫は来ないわよ」


「…おはよう」


「おはよう、あなた」


アムエルが不穏なことを言いながら部屋に入ってきた。


「来ない、っていうのはどういうことかな」


「そのまんまの意味よ、安心して私は何もしていないわ、猫が勝手に雁字搦めになっているだけよ」


「…そもそも護衛のことを教えたことがあったかな」


「あなたからは聞いてないわ、聖女様に聞いたの」


「…やってくれたじゃないか」


今度あったらどうしてくれようか。

会える機会があればだけれど。


「ああ、勘違いしないでほしいのだけれど、聖女様はなにも方々に、誰彼構わず、あなたの情報を広めているわけではないわ。私は聖女様からあなたの情報を買ったの」


「だいぶ、不健全じゃないか。学生は健全であるべきだよ」


「はっ、おじさんみたいなこと言うのね。あるべきものは使うべきだわ、情報を集めて、装備を整えて、その上で大きなイベント事に挑むの。さながらゲームのようにね。あなたもゲーム好きなんでしょ、あなたはゲームから何を学んでいるの?あなたのことだからなにも考えずにゲームを楽しんでいるのでしょうね」


「それが、ゲームってもんでしょ」


「その通りよ、ゲームは人それぞれの楽しみ方があるわ」


「…ところでゲーム好きって言ったっけ」


「聖女様よ」


「でしょうね」


「聖女様にあなたの好きな食べ物からスリーサイズまで聞いているわ」


「僕のプライバシーはどこに?」


「ってわけで、さっそく行くわよ」


「どこに?」


「必需品、買いに行くわよ。昨日話していたでしょ」


「朝ごはんは?」


「出先でたべましょ」


「服が制服のままなんだけれど」


「用意している服があるわ、これを着て頂戴」


服は着てみるとぴったりだった、スリーサイズまで筒抜けとは、

聖女に対しては、もはや怒りよりも、困惑に近い恐れを感じる。


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