第20話 甘いものとしょっぱいもの、どっちが好き?
さて、今僕は呑気にも学校にいるわけだが、あの後帰って対策も何も思いつかなかったので、とりあえず寝て、明日の自分に任せてみた。何かいい考えが思い浮かぶんじゃないかと思って、ちなみに今、四限が終わりかけ、もう直ぐ昼休みになる頃であるが、
何一ついい考えは思いついていない。
唯一思いついたのが、合気道だか空手だか柔道だかの本を購入して、学ぶことである。
無謀、無謀すぎる。一週間しかないのに。そもそも今思い返すと決闘を受けてしまった時点で無謀なのだ。
授業の一環で柔道に触れたことぐらいしか武道を学ばなかった自分にとって、喧嘩もしたことがない自分にとっては決闘自体が無謀なのだ。
しかし悩んだところでどうしようもない。
四限もいつのまにか終わっていたようだし。
昼飯を食べることにしようと思う。
さて、本日私がいただくのは、おにぎりと徳用チョコ一袋です。
昨日から決闘のために頭を使いすぎて糖分を欲しているので昨日スーパーに行って買ってきたのだ。え、なに?健康に悪いって?ふふん、今の僕は16歳なのである。故に、前は血糖値を気にしていて、満足するほど食べることができなかったが、今はできるのである!多少の無理がきくのである!
最近は、イザベラさんとよく一緒にお昼ご飯を食べている。ご飯はやっぱり血液なのかな?とか思ったら全然普通にパンを食べていた。でも多分普通のパンではないだろう、見た感じ高そうな雰囲気がある。
ちなみにわが妹、シエーネはお昼は部活のみんなと一緒に食べているそうだ。この学校部活あったんだな。
そんなこんなで、さあ、ご飯を食べようとした時に彼女は来た、いや、襲来した。
「おーい、弟!いるか?」
「おや、ルーポさん、どうしました?」
「お姉ちゃんだ」
「お姉ちゃん、どうしました?」
「お昼をさぁ…」
あ、もしかして、お昼買うてこいや、みたいなパシリだろうか?それとも昼飯よこせや的なカツアゲだろうか。見た目が見た目だ。そんなことを言われてもおかしくはない。いやまさか普通に一緒に飯食おうぜみたいなことではあるまい。
「一緒に食おうぜ」
普通だった。いや普通が一番ありがたいことではある。
「ちょっとお待ちになって」
「どしたの?」
「お姉ちゃん?ですの?」
怪訝そうな顔で僕に聞いてくる。まぁそれが普通の反応だろう、そもそも血のつながりがないことが見てわかり、僕が転移してきたと知っているから、混乱しているのだろう。
なので、僕はちゃんとした事実を、事情を話す必要がありそうだ。ここは誠実に対応させてもらおう。
「そうなんだ、実は血がつながっている、生き別れの姉弟なんだ」
魔が差した。反応がかわいくてつい。
「まぁ!そうでしたの!」
そんなわけないだろ、僕は人間だぞ。耳もしっぽも生えてないだろ。
「姉弟ってのは、血のつながりだけじゃないぜ!」
「話がややこしくなるのでやめていただけます?この子なんでも信じちゃうんですから」
話がややこしくなった責任は僕にあるのだが。
「マジ?」
「マージ」
「…実はオレ、今、パンツはいてないんだよね」
なんだその小学生みたいな嘘は。…実際どうなんですか?よろしければ今、見せていただいてもよろしいでしょうか。
「まぁ!そうですの!下着は着た方がいいですわよ!」
「そんなわけないだろ、やばいなこいつ」
イザベラさんの白さにお姉ちゃんも驚いたところで、お姉ちゃんはご飯を一緒に食べに来たというが、その手にはご飯を持っていないようだった。
「で、お姉ちゃん、何しに来たんです?お弁当、持ってないようですが」
「あ、そうそう、いろいろ話があってさ、生徒会室で一緒に食べようと思って、吸血鬼も一緒にどうだ?」
「よろしいのですか?」
「ああ、お前にも関係があるからな」
「?」
そうして僕らは生徒会室にお邪魔することになった。
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