第19話 一週間後だよ
「決闘?」
「そうだ!決闘でお前に謝罪させてやる!!」
「決闘ってあれか、負けたら勝ったやつの要求を聞かなければならないってやつか?」
「そうだ!!当たり前のことを確認するな!」
「そうかい、では、その決闘、受けようじゃないか」
「…ははぁ、お前、逃げるなよ」
「逃げないさ」
「一週間後だ、一週間後に場所は…」
オタン君が場所をどこにするか悩んでいると、後ろに控えていた猫耳のスーツさんが彼に一言かける。
「坊ちゃま、この方は連立中央エガリテ学園の生徒のご様子、そちらのグラウンドを借りるのがよろしいかと」
「わかってる!いまそう言おうとしていた!じゃあな!手首を洗ってまってろ!!」
「坊ちゃま、手首ではなく、首を洗ってまっていろ、が正しいかと」
「わかってる!いまそう言おうとしていた!」
そうして、騒がしく、彼らは部屋を出ていった。
「あわわわわ、まずいですわ…」
イザベラさんは顔色を悪くしている。やっぱりまずかっただろうか、確かにちょっとやりすぎた感はあるし、周りのことや後先全く考えずに決闘を受けてしまったが、そんな人が死ぬわけでもあるまいし、何とかなるんじゃないかという軽い考えであった。
とういか正直こんな喧嘩早い性格ではなかった気がするのだが、元の世界にいた時は、長いものには巻かれとけ主義だったはずだ。
「決闘についてご存じですの?ご存じの上で決闘を受けましたの?」
「いやまったく知らないっす」
「なんでそんな、何も知らないで受けましたの?」
「いやなんとかなると思ってぇ、売り言葉に買い言葉というか…」
「死ぬかもしれませんわよ!」
「おっと?」
死ぬ?マ?
イザベラさんは僕の反応を見て、呆れたように頭に手をやる。
「いいですか、決闘というのはどちらかが降参するか、戦闘不能、もしくは場外で勝敗が決まりますの、そして先ほども申していた通り、負けた方は勝った方の要求をのまなければなりませんの」
「な、なんか決闘場に絶対に死ぬことがない結界みたいなの張って、一定のダメージを受けたら…みたいなやつがあるんじゃ…」
「あるわけないじゃないですか、そんなもの」
ないのか、どうやらアニメの見過ぎのようだ。
「そして決闘には代理人を立てることができますわ」
「代理人?」
「自身の代わりに闘ってくれる人ですわ、彼は確実に代理人制度を利用してくるでしょう」
あいつ自分で闘わないのか、てっきりあいつと闘うものだとばかり思っていたが、道理であのでかい態度だったわけか、納得である。
「代理人を雇うにしても、代理人を雇うのは非常に高価で、1000万ぐらいかかりますわ」
「まぁじか」
残念ながら、こちらに来たばかりの僕にはそんなお金はない。どうやら僕は生身で闘うしかないようだ。いやあ死にたくなぁあい!!どうにかしないと!いや、落ち着け、決闘までにあと一週間ある。対策を練るんだ。
イザベラさんのお母さんが、ニヤニヤしながら僕に話しかける。
「いやぁ、いいものを見せてもらった少年、漢じゃないか。若いのはこうじゃなくては、どれマジックアイテムぐらいは貸してやろう」
「え?いいんすか!」
「うむ、それくらいはまぁいいだろう、流石に代理人を斡旋してあげることはできないがね」
「いえいえ、それでも大変ありがたいです!」
流石にイザベラさんのお母さんが僕に代理人をつけるのはまずいだろう、相手とは婚姻関係で繋がっているのだから、決闘の相手に手を貸したとなれば、いい結果にはならないことは想像に難くない。
マジックアイテムを借りたことにより、多少、まぁ勝てる確率がちょっとぐらいはあがったのではないだろうか、ただ一つ言えることは確実に生身よりはマシであるということだ。
「では、少年、ちょっとここでまちたまえ。男子でも使えるようなマジックアイテムを見繕ってくる」
「お願いします!」
こうしてイザベラさんのお母さんからマジックアイテムを受け取り、帰宅した。
一週間後、僕は生きているだろうか。
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