第4話 獣娘パラダイス!!

うさ耳、それは、夢であり、希望である。

もちろんヶモ耳は、うさ耳だけではない。犬耳、狐耳、猫耳、挙げるときりがない。

しかし、うさ耳は特別な人は多いだろう。

なぜなら、バニー衣装があるからだ。

バニーは様々なゲームや小説の中で特別衣装や、別スキンとして実装されたり、物語の中で特別扱いされていたりする。

バニーキャラが実装されたことによってサ終の危機を脱したゲーム会社もある。

それにバニーキャラに関しては最近の流行りである、というわけではない。

遥か昔から、そのバニーというのは数々の作品に登場し、男たちを熱狂させてきたのだ。いや、男だけではないだろう。女とてその魅力の前には膝をついてしまう。


そのうさ耳が、本物が、そこにある。

興奮しない訳がない。


・・・・・言い過ぎかな?

僕は自分で言っていて、こじつけ感を覚えながらもうさ耳さんに懇願を続ける。


「み、耳ですか?」


「はい、だめですか」


「いや、全然問題ないですけど、そんな面白いものでもないですよ」


「いや!そんなことはありません!男の子!みんな!うさ耳!好き!」


「え、えー。そう言われるとちょっと恥ずかしいです」


うさ耳さんは顔に手を当てて、恥ずかしがっている。


むふふふ、かわいい。



「ね、ちょっとだけ、ちょっとだけでいいんです!先っちょ!先っちょだけでいいから!」


「そ、そこまで言うなら、ちょ、ちょっとだけですよ?」


うさ耳さんはおずおずと頭をこちらに向けてくれた。

ふわりと香る花のかおりは、まさに初々しくも、期待感にあふれた春先の薫りかおりのようだった。

この距離でも頭のにおいがわかるのは、長いうさ耳があってのことだろう。


僕は、まるで新入生のような、新入社員のような気持ちで緊張しながら、それ以上にワクワクしながら、目の前に出されたうさ耳理想郷に踏み込んでいった。


「おおおお、あこれすっごい」


めっちゃふわふわ、このふわふわの前には語彙力も消失する。まさに理想郷。

耳の先から根本の方までゆっくりと指を滑らせる。


「・・・・!んっ///・・・・あっ///」


せっかくの機会を逃すわけにはいかない、くまなく堪能させてもらおう。

え、なに?先っちょだけだって言ったじゃないかって?

ふん、先っちょだけ、という言葉はと書いて、と読むのだよ!

そもそもそんな、先っちょだけとか言っといて、ほんとに先っちょだけで終わる状況なんてないだろう。

あったら是非見てみたいものだ。


「ん///、あんっ♡も、もういいですか?/// 」


「あ、はい!すんませんありがとうございました」


「いえ/// 楽しんでいただけたようで、なによりです///」


どうやら夢中になっていたようだ。


「ふう、もう!先っちょだけって言ったじゃないですか!」


「え?言いましたっけ?」(すっとぼけ)


「もう!もう!もう!」


うさ耳さんは、その赤く染まった顔を誤魔化すように、軽くポコポコと叩いてきた。


ふふ、かわいい。うさ耳さんは小柄だから叩かれても全く痛く、いたく、いた、あ、ちょ、ちょっと痛、け、結構痛いな!ちょ!やめ、うあ、やめてくださいお願いします。




そうしているとドアが開けられ、黒いスーツを着て、サングラスを着用した人たちが入ってきた。


なかなか物騒な雰囲気を醸しているが、それ以上に僕は興奮していた。


たくさんの!種類の!ケモ耳!


ケモ耳パーティー! 獣娘パラダイス!! 


犬耳、猫耳はもちろん、あれはフェレット?フェレットかな?

すごいなさすが異世界、レベルの高い合格点をオールウェイズ出してくれる。




「男性の方ですね、こちらにどうぞ」


「あ、はい、そうだ、うさ耳さん、いろいろと親切にしていただきありがとうございました」


「いえ、お気になさらず。お元気で」



「では行きましょうか、ではこちらに」


「こちらって、これですか?」


「はい」


あ、麻袋やんけ。


まさか、これに入れと?いや流石に…


「自分の足で歩けますよ?」


ちらりと警察を見ていると、じっくりとこちらを見られていた。まるで早く入れと言わんばかりに。


「いやでもさすがにこれは」


「早くしてください」


「はい」


公権力に逆らわないほうがいい。

長いものには巻かれておくのが一番である。


そうして僕は麻袋に入れられて運ばれていった。雑だなあ。


「あ、ちょっとどこ触ってんですか!」


「静かにしてください!!」


運ばれている途中にいろいろ触られた。そもそもどこに運ばれているのか、なぜ僕は麻袋に入れられて運ばれているのか、どいつもこいつも説明不足。

誘拐されている気分である。


「せめてどこに向かってるかだけでも教えてくれたらいいのに・・・」


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