第132話 王様ゲーム(全年齢版)

そんなこんなで始まった王様ゲーム。


「早く次よ!次!」


現在僕はシロの温もりを太ももで感じながら色々と葛藤していた。


「ショウ…重くない?」


「いや全く重く無いよ!でもちょっとアレかな!手の置き場所が定まらない感じかな!」


「私のお腹に手を置くと良いと思う、自然」


そっかぁじゃあ遠慮無く…。


「ショウ君!次が始まる!早くクジを引いて!」

おっと失敬、急な女の子との密着で頭が沸騰しそうだっだよ。


「「「「王様だーれだ!」」」」


次の王は僕だ!ショウ様の最初の命令は決まっている!


「これからはちゃんと番号で命令する事!」

名指しでなんて危なくてやってられないよ!その…ほら!子供ができちゃうよ!ゼルもいるのに!


「シロの時は良かったのに!」

そんな声が上がるが知った事か、それが許されるなら番号がある意味ないでしょ。


そして次の王様は…ホノカか…。暴君にならないと良いけど…。


「やった!えーと…じゃあ3番が王様に贈り物をする!これで決まり!」

贈り物?軽い暴君だ、軽暴君だ。


「おっ、3番は僕だね!贈り物かぁ…お酒はさっき出しちゃったしなぁ。あ!ちょっと待っててね!」

魔王から勇者に贈り物か。まあゼルの事だから引導とかでは無いと思うけど。


「ゼルはどんな人なの?」

ホノカはゼルが出て行ったタイミングで僕に問いかける。


「良いヤツだよ。優しいし、なんか落ち着くんだよね」


「ふーん…ま、まあ顔は格好いいわよね!」

おや?ホノカさんゼルみたいな顔がタイプなの?勇者と魔王なんだけど…


「おまたせ!僕が育てた花を持ってきたよ!綺麗でしょ?これを贈るよ!」

この一瞬で魔王城まで戻ったの!?しかも花束じゃん!色とりどりのバラ?みたいな綺麗なお花!


「えっ?花?私に?あ、ありがとう…。すごく綺麗…」

うっとりと花束を眺めるホノカ、なんだなんだ…暴君が女の子の顔に…。


「綺麗だろう?僕の自慢の花さ!」


「ぜ、ゼルはお花屋さんなの?今度お店に行っても良い?」


「うーん…お花屋さんでは無いんだけど、夢ではあるかな…」


「そうなんだ!お花屋さんを始めたら教えてね!手伝いでもなんでもするからね!」

おやおや…なんか二人の雰囲気になってしまった…

王様だーれだ!とかいう雰囲気ではなくなったが?


「早く次を始めたし!我も王様になりたし!!」

「そ、そうです…私も王様になりたいです…」


「そ、そうね!ゼル、ありがとう!大事にするから!」


「喜んで貰えて嬉しいな」


じゃあ次行くか!なんか良い雰囲気になってきたぞ!


「「「「王様だーれだ!」」」」


「我が王様!覚悟されたし!!えーと…うーんと」

エリザは優柔不断な王様だ、あんだけ騒いでおいて命令考えてなかったの?


「じゃあ…1番が王に…肩車とか…して欲しいかも…」

可愛いお願いじゃないか…多分僕にして欲しいんだろうけど残念ながら僕は2番だ。

しかしエリザのガーターベルトが真横で眺められるなんて機会はそうそうないだろう。


「あ…1番は私です…じゃあ乗って下さい」

リディ?なんかすごい組み合わせだな。


「ショウじゃない…だけど楽しみ!乗る!」


リディの肩に飛び乗るエリザ、おお…女の子が女の子を肩車か、レアだよこれ。


「高くなった!すごい!もっと高くする!!」

リディは身長伸ばし大人の姿に…ちょっと待って見えそう!なにこれ!すごく良い!


「おぉ…姿を変えられるのですか…ちょっと走ってみましょう」

エリザを肩に乗せて部屋中を走り回るリディ、案外自分も楽しんでる?


「おお!早い早い!楽しい!夢の如し!!」

しかしあの脚反則だよな…僕はガーターベルトの辺りから目が離せないよ。


「リディ!見えてる!ショウも見過ぎ!!」

シロさん!これは見ますよ!しょうがないでしょ!


「エリザ良かったね!また友達が増えたじゃないか」

ゼルは我が子を見守るような優しい顔で見てるな。どこかの地下室野郎とは大違いだ。


「と、友達?リディは友達で良いの?」


「あ、はい、友達…ですね。もっと遊びましょう」


しばらくして今度はエリザがリディを肩車、楽しそうで何よりですよ王様。


「そろそろ次…今度こそ私が王に…」

リディとゼルはまだ王になってないのか。今のところ全年齢版だ。


「「「「王様だーれだ!」」」」


「お!次は僕だね!命令ってあんまり好きじゃないんだけど…そうだな。じゃあ2番と4番の夢を聞こうかな!」

げっ、4番僕じゃん!キャラじゃないのに!


「2番は私ね!」

2番はホノカ?ホノカの夢ってなに?社長とか?


「私の夢はね!夢は…魔王を倒すのは夢とは違うし…」

それは勇者スキルの影響だからね。


「そうねぇ…そ、その…お花屋さん?とかしてみたい…かな」

モジモジしながら夢を語るホノカ。

ホノカお前どうした?聖剣またぶっ壊れたの?なんか可愛く見えてきたんだけど。


「良いね!きっと叶うよ!可愛い女の子には花が似合うからね!」

ゼルって本当に僕と一緒?裏では夜の魔王とか言われてない?


「か、可愛いなんて…うん!頑張るね!」

チョロいとはまた違うんだよな…。なんだろうこの感じ。乙女的な何か?


「それじゃあショウの夢はなんだい?」


「僕の夢か、前まではマイホームが欲しかったんだけど、今はこの地下室があるからなぁ」


「家族とかはどうなんだい?結婚とかしたくないのかい?」


「まだ分からないよ、でもそうだな…もし子供が産まれたらこの地下室でいっぱい遊んであげるんだ」


「ショウ君!今すぐにでもできる!なんなら見せつけても良い!」

ダメだろ…何言ってるの君。


「ダメ!ショウはその…まだだめ!」

「我も大きくなったらできる?子供欲しい!」


ゼルの命令で色々ごちゃついたなぁ。

僕は大きな声で王様だーれだ!と叫んでうやむやにしたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る