第131話 集合 魔王?と勇者

「「「「王様だーれだ!」」」


「王様は私…えーと…ショウは王様の椅子になる」


「ダメだよ名指しは…番号書いてある意味無いじゃん」


「王様のいう事は?」


「絶対ですけど…」

そうしてシロは僕の膝の上にちょこんと座り、焼酎のメロンソーダ割りを飲んでいる。


「ずるい!我もショウに座りたし!」


「私は王様になったら…えーと…何か貰うわ!」


「私はショウ君と子作りする…」


「僕はどうしようかなぁ」


現在僕達は王様ゲーム(全年齢版)をプレイ中。

なぜこんな素敵な事になったのでしょうか。


事の発端は数時間前まで遡る。


「何か依頼ありますか?安全で簡単なやつ」

僕は依頼でもしてヒマを潰そうとギルドにやってきた。


「ショウさん…安全で簡単なのは新人さん達の大事な収入源なので…」

確かになぁ…。でも一つ言いたいのは僕も新人だって事だよ。


もう帰って釣りでもしようかなと思ったところでギルドの扉が開いた。


「あ!ショウじゃない!何してるの?」

「ショウ!遊びに行こう!」

勇者パーティーじゃん、良いよ!依頼が無くて暇だから。


「遊びですか!?私も行きます!ヒマなので!」

お?ユキさんも暇なの?じゃあみんなでどこか…。


「何言ってるんすか!先輩昨日休んだじゃないっすか!だめっすよ!仕事いっぱいあるんすから!」

ダメだって…。ノアちゃんに怒られるユキさんとか初めて見た。


「ぐぬぬ…」

そしてこのユキさんは何回も見た。


「勇者さん達は本当に暇なの?」


「依頼が丁度終わったから休憩、ショウと遊ぶ」

「まあそういう事よ!そういえばリディは起きたの?」


「あぁ、あの後すぐに…」

いや…魔王のところで目を覚ます薬使ったって言うのはまずいか…。


「普通に起きたよ。せっかくだし会いに行ってみる?」


「またメダルゲーム一緒にする!」

「私は再戦を申し込むわ!」

やめなよまた吹き飛ばされたり潰されたりするから…。


ぐぬぬ状態のユキさんにまたあとで遊びましょうと声をかけ、僕達はリディの村を目指した。


まあまずお風呂にでも入ってきなよとホノカとシロを浴場に向かわせ、急いで目的地まで向かう僕。

リディも分かってるとは思うけど魔王と僕が知り合いなんて今は言えないからね。


村に着くと作物は適度に育っていた。リディはしっかり仕事をしているみたいだな。


「ショウ君!!会いたかった!!」

どこからともなく目の前に降ってきたリディ、空にいたのか。まあ竜だもんな。


「シロとホノカと遊びにいかない?この前寝たままお別れになったでしょ?」


「行く!ショウ君も行く!一緒にイク!!」

おっとリディちゃん、だめだよ女の子がそんな言葉遊びしちゃ。でもどうやって?気になるわぁ。


「それで先に伝えておきたかったんだけど、魔王と僕が友達なのは勇者パーティーには内緒なんだよね。魔王と勇者ってほら、アレじゃん?」


「わ、分かった!内緒にする!」


地下室に降りると丁度二人はお風呂から上がったタイミングだった。


「シロ、ホノカ、久しぶり…」

僕の前だけテンション高いんだよね。ちょっと嬉しいけど。


「あのまま夢から覚めないかと思った」

「まあ起きたなら良かったわね!どうやって起きたの?」


「ひゃ!え…えーと…。強い人に起こしてもらった」

ん?ウソ下手か?大丈夫それ。


「リディが強いって言うなんて…どんな人?」


「え、えーと…なんかその…。アレな感じの」

頑張れ!どうにでも言いようはあるぞ!


「アレってなに…ちょっと会いに行ってみない?私戦ってみたいわ!」


「いやダメじゃない?それは段階を踏んでからの方が良いよ」

流石にダメだろ?魔王だぞ?


「ショウは何か隠してる?怪しい…」

違うんです!優しいウソってヤツですよ!


「リディはその人知っているんでしょ?会いに行っても大丈夫よね?」


「う…うん…大丈夫?かも?」

リディィィィイイイイ!


「ショウ焦ってる?女の子の気配がする」

シロさん、なんか顔怖いですけど…。


いや…そういえばこの前変身アイテムを手に入れてたな…。

どうにかなるか?もしや。


「じゃあちょっと連絡するから待ってて、向こうにも都合があるからね」

僕はトランシーバーでゼルに連絡、別に断ってくれても良いのだけど…。


「ショウ!今日はどうしたんだい?」


「あー、ゼル?なんか勇者パーティーが会いたいらしいんだけど。リディを起こした強い人に」


「ん?あー、そういう事か。じゃあ変身して会いに行けば良いんだね!今どの辺だい?」

ゼル…あんた最高の男だよ。

僕は現在地を伝え電話を切った。


「ここまで来てくれるってさ」


「ショウ君…ごめんね…」

リディは近くに来て小声で謝ってきた。


「いや、良い機会だし一緒に何かしようよ。きっと大丈夫だから」

あの頭の回転の良さならきっと大丈夫だ。

シロはともかくホノカは脳みそ使わないで生きてるから。


「楽しみね!どのくらい強いのかしら?」


「胸大きいのかな…」

いや男だよ、来たら分かると思う。あと僕は脚派。


しばらく地下室を開けて待つと階段を降りる音が聞こえ、ゼル?とエリザが地下室にやってきた。


「ショウ!久しぶり!我も遊びたし!!」

エリザは僕の胸に飛び込んできた。しかし子供形態か!抱きついてきても許されるヤツ!


そしてゼルは…誰?魔族なんだろうけどなんともひ弱な青年だ。しかし顔は良いな…。


「エリザも帰ってきていてね、一緒に行くって騒ぐから連れてきたよ」


「なんか普通ね…あなた本当に強いの?」

「魔族だけど…魔力をさほど感じない…」


「あの時は起こしてくれてありがとう…。まあ漏れる前に自分で起きたけど…」


「僕はゼル。ショウの友達だよ!よろしくね!そしてそっちの吸血鬼はエリザだよ、大事な仲間さ!」


「我はエリザ!高貴なる吸血鬼!あの…えっと…その…宜しくお願いします…」


「勇者のホノカよ!さぁ!試合しましょう!」

「多分ホノカの方が強い…。無理に戦う必要はない」


「そうだね!きっと一瞬で負けちゃうよ!お土産にお酒を持ってきたんだ!これを飲んで親睦を深めようじゃないか」


「なんか元気な人ね…まあ良いわ!飲み比べで戦いましょう!」


「私はあまり飲まない、あとショウ、近すぎ」

「確かに、ショウ君近い!」

二人とも魔族であることには突っ込まないんだな…じゃあエリザ君、離れたまえ。シロお姉ちゃんは近すぎと見過ぎに厳しいんだ。


それからBARに移動し、宴会が始まった。

「我はジュースを飲む!緑のヤツ!」


「メロンソーダは美味しい…私は今日少しだけお酒を入れる」


「わ、私はゼルのお酒をちょっと飲もうかな…」


「このお酒美味しいわね!今度はこっちのお酒もご馳走するわね!」


「嬉しいね!ショウの日本酒には敵わないけどね!」


みんな結構打ち解けたみたいだ。勇者スキルと魔王スキルも問題無いみたいだね。

あとホノカがご馳走するって言ってるのはここのお酒ね。君のでは無いよ。


「何かお酒を飲みながらするゲームはあるのかい?」


「ん?王様ゲームとかの話?」

何も考えずに口走ってしまったこのゲーム。しかし僕だってやってみたかったんだこのゲーム。

願望が口に出ただけ!


「王様ゲームって何?」


「うーんとね、みんなでクジを引いて王様になった人のいう事を聞くゲームだよ。クジに番号が書いてあってね、例えば…2番と4番が握手するとかいう命令出すの」


「命令は何でもいいの?」


「ま、まあ常識の範囲内ではね」


「「「やる!!」」」

おっと、ゼル以外はノリノリだな。

ゼルは元々王様だから別に何も変わらないんだよね。多分。


こうして始まった王様ゲーム。

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