第126話 ドッペルゲンガー 

「じゃあわっち達はもう行くでありんす」

「また遊ぼうね!」


翌朝、トコヨとアリアちゃんはまた旅に出かけた。

なんだかんだ楽しいようで何よりだ。


流石に帰ろう、アルカリスの町にも長い間帰ってないような気がする。

僕はコーヒーを飲んで眠気を覚まし地下室の運転を始める。


しっかしまあ最近遊んでばっかりだな。一応ビーストアウトも阻止したけど僕ルナのスカートの中覗いてただけだし。


しばらくしてギルドに到着、受付には安心のユキさん!そしてその前には…


「ヴォルフとレイさん?なんか意外な組み合わせだね」


「ショウさん!お帰りなさい!ビーストアウトの阻止お疲れ様でした」

まあ僕は何もしてないんですけどね。何も見てないし?


「ショウか!久しぶりだな」

「ショウ様、相変わらずお元気そうですね」


「ただいま戻りました、しかし二人で何してるの?」


魔王軍三人しかいない四天王の一人のヴォルフさんとメイドから冒険者になったレイさん、偶然一緒になっただけ?


「今から魔獣の討伐に行くんだが一人では厳しそうなんでな、たまたまこの人が依頼を探してたから誘ってみたんだよ」


「まあ集団行動も大事ですし、べ、別にショウ様以外の男性と親しくしているわけではないですよ!」

いや親しくして?ヴォルフ良いやつだから。


「さっき来た依頼なんですけど…相手はドッペルゲンガーでして…」

ユキさん、それ怖いヤツじゃないんですか?良いんですか?叫んでも。


「自分と全く同じ姿になる魔獣だな、身体能力も一緒だから厄介なんだ。一人で行っても互角だし、普通に逃げ足も速い」


「そしてそこそこの戦闘力がある人にしか変身しませんし、例えば勇者なんかに変身されて逃げられたらとんでもない事になります」


なんかすげぇ面倒なのは分かったよ…。


「なのでそこそこの戦闘力がある二人で挟み撃ちが最も効率的なんです」

なるほどなぁ…


「ショウも一緒にどうだ?最悪大砲ってヤツで吹き飛ばしてくれよ」


「まあ確かに効率的ではあるけど…そんな上手くいくかな?」


「ショウ様がいれば怪我しても大丈夫ですね!一緒に行きましょう!」


結局流れで僕まで行く事になってしまった…。まあこの二人がいるなら大丈夫だろう。

そして地下室で移動、流石に酒は飲まないらしい、すごく飲みたそうなヴォルフだが依頼達成後に飲むと我慢している。


「しかしそのドッペルゲンガーって危なすぎない?そんなに頻繁に出てくるの?」


「たまに偶発的に生まれるらしいです。確認された数もかなり少ないですね」


「逃げ足が速いのが一番厄介だ、さっさと変なのに変身される前に倒さないとな、おっと、この辺りのハズだ」


何もない荒野だけど…本当にいるの?


「何もいませんねぇ…」


「そうだな…そう遠くへは行かないと思うんだが」

僕達は地上に上がって辺りを見渡すが何もいないし何もない。


「周りを確認してみようか、一回地下室に戻ろう」

「周りを確認してみようか、一回地下室に戻ろう」


え?


「ショウ!そいつだ!ドッペルゲンガーだ!」


「出ましたね!まさかショウ様に化けるとは!なんとまあ殴りにくい!」

黒い影の僕、せっかくのイケメンが台無しだよ!あと怖い!


「ぎゃーす!!」

僕は回収スキルを使って一瞬で地下室に避難。流石にユニークスキルまでは模倣できないみたいだ。

地下室スキルまでコピーされてたら正直終わってたよ。


「この中で一番強いのがショウって事か?地下室スキルがなければなんという事はないだろう!」

ヴォルフ!悪口みたく聞こえる!耳が痛いよ!


「逃げられる前に片付けましょう!ユニークスキルが無ければ大した事ないです!」

本当だよね…。でも言わないで…僕も一応心はあるからさ…。


「いくぞ!リミットブレイク!」

ヴォルフさんは身体強化を使うのか、なんかすごく速いしすごく強そう。

でも影のショウ君はびくともしないね。


「いきます!我流!極針撃!!」

前に使った技の改良版か、でも影のショウくん全然余裕だね。


「ショウはこんなに硬いのか!?アルティメットブレイク!!」

「たくましい身体ですね…今度触らせて頂きましょう!我流!破竜砲!」


いやぁ…ショウ君硬いなぁ…。かれこれ一時間はやってるけど全然勝てないや、攻撃は弱いから負けもしないけど。


しかし攻撃をやめると逃げられる可能性があるから攻め続けないと…なんとかならんか…。


「埒が明かない!なんとかならんか!」

「ショウ様を倒せる人はいないんですか!?」


あ、いるわ。


僕は何も考えずにトランシーバーを手に取る。


「最近いっぱい連絡くれて嬉しいよ!どうしたんだい?」


「ゼルって城出れるの?僕のドッペルゲンガーが出てきちゃって倒せなくて困ってるの」


「お!僕の出番かい!?良いよ!今から行くね!場所はどの辺りだい?」

大体この辺だと伝えるとすぐに来るらしい、別にずっと城にいなくていいのか。


数分後…バイクに乗ってやってきた魔王様…。気に入ってるんだな…。


「ヴォルフ!久しぶりじゃないか!」

いやちょっと待て!今そんな登場の仕方したら…


「ショウに呼ばれて来たんだ!」

「ショウに呼ばれて来たんだ!」


最悪じゃん!遠くから上手い事倒せなかったの!?


「あ、僕になっちゃったね!これは結構やばいかも!」


いややばいなんてもんじゃない!魔王のドッペルゲンガーなんて厄災じゃないか!

とりあえずレイさんとヴォルフを回収、終焉魔法なんて撃たれたらおしまいだよ。


「あの方は誰ですか?ショウ様よりも強い人ですか?」


「魔王様だな、まさか呼ばれて来るとは…しかし結果的には最悪な事に…」

でも僕を倒せるのなんて魔王かルナくらいだよ。

なんかルナに僕を殺させるの可哀想だったしね。


上では終焉魔法を撃ち合い、お互いに相殺させている。

あれ…でも接近戦する二人と違って距離空いてるな…。


僕はゼルに当たらないように角度を調整し、大砲をぶっ放した。

その瞬間ゼルのドッペルゲンガーは消えたのだった。


勝った!


このスピード感!久しぶりの大砲炸裂!でもあっさりしすぎて面白くない!


「ゼルー、なんか色々あったけどとりあえず助かったよ!ありがとう!」


「な…なんだい今のは…あんな攻撃耐えられる人いないよ…」


「大砲だよ!僕のご都合主義の武器!」


「ショウはすごいね、まさかここまでとは思ってなかったよ」


「あの…ショウ様魔王とも知り合いなんですか?」

レイさんは少し不安げに口を開く。


「友達だよ!すごく良い人なんだ。ゼルっていうの」


「そうですか、ゼル様、私は冒険者のレイと申します。宜しくお願い致します」


「ショウの友達だね!じゃあ僕達も友達だ!」


「そうですね、友達ですよね。あの…その乗ってきた銀色の乗り物に乗っても良いですか?どこで買えますか?いくらですか?なんならそれ下さい」


お?バイクが欲しいの?似合いそうではあるけど。

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