第119話 ゴウケツvsルナ? ツーリング 賭けの約束
「それでは二人ともお疲れ様でした!」
ルナとゴウケツさんに任せて僕はルナを下から覗いていただけ、あー忙しかったなぁ。
「やはりここの酒は最高だな、肉も毎度美味い。」
「カッカッカ!働いた後の酒は格別じゃな!」
この二人は酒と肉さえあれば良いからね。
「しかしルナティアの範囲魔法は強いな、まさか俺も巻き込まれるとは思わなかったぞ」
あの月ボロッボロ落っことすヤツだよね、無事で何よりだよ。
「オーガならあのくらい効かんじゃろ、手加減したしの」
気になる。僕はルナの本気が気になるぞ。
「あのさ、やっぱりゴウケツさんよりルナの方が強いの?」
「うーむ…まあそうだろうな、俺はルナティアのスピードには付いていけないからな」
「まあ妾は防御も強いのじゃ、万能じゃ」
「実はシミュレーションルームっていうか、怪我しないコロシアム作ったんだけどどう?」
「なんじゃ…どう?って…」
「怪我をしないのか、それは気になるな」
「ルナとゴウケツさん戦ってるところ僕見たいんだけど、ビールでも飲みながら」
「お主最近マジでひどいのう…まあ良かろう、不完全燃焼じゃったところじゃ」
「七聖竜と戦えるのか、またとない機会だな。よし、やるか」
やったぜ!ビールとピーナッツでも持って見ようっと!
そしてコロシアムで向かい合う二人、それを見守る僕。
いやぁ楽しみだなぁ。
「地下室なのに魔法も使えるようじゃの、どれ、防御魔法を使うから好きに打って良いぞ。」
おっとルナさん余裕っすね。弾き飛んでも知らないからね。
「七聖竜の防御魔法か…破ったらサイカとチヒロに自慢できるな…それでは行かせてもらおう」
「どんと来いなのじゃ!」
ゴウケツさんはルナに近づきサイカさん仕込みのぶん殴りフォームで構える。
「まあ大丈夫じゃと思うが少し強めの魔法を使うか…プロテクト!」
魔法障壁だ!いいなぁあの透明な下敷きみたいな盾!ダサかっこいい!
「それでは行くぞ!」
ゴウケツさんは思いっきり拳を振り抜き、直撃したルナは可哀想な事に壁までぶっ飛ばされた。
ん?プロテクト!!とか言ってたあの下敷きどこ行った?
「ちょ、ちょっと魔法が弱すぎたみたいじゃな。妾反省」
見事に飛んだね、なんかびっくりした顔してたけど大丈夫っすかね。
「そうだな、まさかあの程度の力で本気の七聖竜が吹き飛ぶわけないだろう」
「もう一回じゃ!今度は本気じゃぞ!クリスタルシールド!!」
「うむ、良い魔法だ。それでは行くぞ!」
ゴウケツさんの拳でシールドはパリンと音を立てて砕け散り、ルナはまたしても壁まで吹き飛んだ…。
「いやおかしいじゃろその攻撃力は!!もう本気じゃ!本気の本気じゃからな!ゴウケツも本気で来るのじゃぞ!!」
「良いだろう、それでは本気で行かせてもらう!」
「ディメンショナルウォール!!流石にこれは無理じゃろ!!」
そして振り抜かれた拳で壁に叩きつけられるルナ…
「いやいやおかしいじゃろ!!次元の壁じゃぞ?なんで妾が吹っ飛ばねばならんのじゃ!!」
何見せられてんの僕…なんか映画のNGシーンみたいなんだけど…
「いや…俺は本気で殴れと言われたから殴っただけなのだが…」
「身体が痛みを感じないから心に来るのじゃ!!もう普通に試合じゃ!!試合!!」
何怒ってんの?
「良いだろう!本気でやりあおう!!」
「行くのじゃ!終焉魔法!!エンド!!」
は?
次の瞬間ゴウケツさんのライフはゼロになり、ルナの頭上の勝利のマーク…
「何が起こったのだ?こんなにもあっさり負けるものなのか?」
「終焉魔法は一撃必殺じゃ、エンドは相手を殺す魔法じゃからの」
ズルじゃん…
「ハッハッハ!それは勝てるワケないなぁ!完敗だな!」
そうだよね、ウケるね。でも良いの?こんな感じで。
「なあルナさん、ぶっ飛んで恥ずかしいのは分かるけど終焉魔法はやりすぎじゃないの?」
「は、恥ずかしくなんかないのじゃ!なんじゃ?本気で戦ったのじゃ!もう良いじゃろ!あー疲れたのじゃ、ビールでも飲もうかの!」
「そうだな、飲み直すか!俺は七聖竜の防御魔法を砕いただけで十分満足だ」
「ぐっ…ま、まあ良いのじゃ…」
なんか悪い事したなぁ…。僕が見たいとか言ったばっかりに…。あんなに壁に吹き飛んで…ちょっと面白かったけど。
そして今僕達なぜかバイクに跨っているのだ。
ゼルとバイクで遊んだんだよね!と酒の席で自慢したところ、意外にもゴウケツさんが興味を持った。
しっかりお酒は風呂で抜いたからね。
「俺は移動が遅いからな、素早い者に憧れていたのだ」
そう言って乗っている超大型バイク、限界まで巨大化させたアメリカンバイクに跨るゴウケツさん…アイルビーバックとか言い出しそう。
「妾のが一番早そうじゃ!」
ルナが乗っているのはスポーツタイプ、シルヴィアさんと一緒か?黄色の車体も良いな…。
「僕のスカイダイバーかっこいいでしょ。お気に入りなんだよね」
「なんじゃ?名前を付けておるのか?じゃあ妾のは…ムーンプリンセスじゃな」
へー、良いじゃん。なんかお仕置きしそう。何かの代わりに。
「名前か…俺のは…そうだな…。戦士だな」
ゴウケツさんの辞書って2ページくらいしかないの?
まぁらしいっちゃらしいけど。
この前の教訓を生かしナゾナゾキャラは抹消してやった。あんな一休さんみたいな事してられっかって話よ。
「レースも良いけどみんなで走ろうよ、途中に美味しいご飯出す店があんだよね。」
「まあそうじゃのう、一人で走るには長いかも知れんのじゃ」
「美味いメシか、楽しみだな。」
全員並んでスタート、ゴウケツさんは最初は操作に慣れないようだったがすぐにコツを掴んだ。
「おお!!素早いな!これでサイカにも負けん!」
負けじゃないですか?ズルしてるし。
「ゴーカートより速いのじゃ!地上を飛んでるようじゃな!」
ルナとか飛んだ方が速いのに楽しいのかな?
ゴウケツさんは鼻歌を歌いながら上機嫌で運転をしている。鼻歌とか歌うキャラじゃなかったと思うけどよほど楽しいんだろう。
「あー…敵もいたんだった…。あのー、前の敵倒して貰っていいですか?」
「轢けば良かろう?」
ムーンプリンセスだっけ?お姫様がそんな事望むと思いますか?
「俺が行こう!今は最高に気分が良いからな!」
ゴウケツさんは魔獣に触れられないように大事そうにバイクを岩の影に置き、近くにあった石ころを掴んで魔獣にぶん投げた。
そして弾け飛ぶ魔獣。逆に不憫で仕方ない。
「終いだな、じゃあ行くか」
ゴウケツさんって何気にコントロール良いよね。
野球なんかやったらピッチャーだな。キャッチャー体型の。
ただバイクで走るだけなのになんでこんなに楽しいんだろ。休日にバイクで遠出する人の気持ちが今なら分かるな。
途中ちょっとした競争をしたりしていたらあのハンバーガー屋が見えて来た。
ハンバーガー屋?喫茶店?
「ここのハンバーガーが美味いんだよ、きっと気にいるよ」
「はんばーがーか、良く分からんが美味いのじゃろうな」
「肉の良い匂いがするな」
僕はマスターにハンバーガーとポテト、コーラといつものセットを注文。
言わずもがな二人は気に入ったようだ。
「たまらんのじゃ!!このガツンと来るのが良いのう」
「酒が無いのが残念だがコーラというのも美味い!これは永遠に食えるな!」
「でも永遠に食べたらあのバイク小さくて乗れなくなりますよ?」
「それは…うむ、今日は腹八分目にしておくか。あとでサイカとチヒロも乗せてやらねばな」
良いお父さんだよね。でもサイカさんもバイク好きそうだから取られないようにね。
「家族か…良いのう…」
「ルナって家族欲しいの?結婚願望あるとか?」
「妾だって乙女じゃからな、月並みな夢も持つんじゃよ。」
「ルナってどんな男っていうかオスがタイプなの?」
「普通に男で良いじゃろ…。そうじゃな…まあ優しい男じゃな」
「へー、僕じゃん。照れるじゃん急に」
「そうじゃな…ショウなら良いかも知れんのじゃ」
え?良いの?ぎゃーす男はごめんじゃ!とか言うと思ったのに。
「何顔を赤くしておるのじゃ?カッカッカ、童貞はからかいようがあって面白いのう」
「謀ったな!僕の純情を弄ぶな!!」
「ハッハッハ!七聖竜もなかなか言うものだ!」
「ま、まあの!妾に相応しい男なぞ簡単には見つからんしの!そう…そう簡単にはいかんもんじゃの…」
少し寂しそうなルナ、まあ確かに七聖竜の恋人はそうそう見つからないかもな…。
「おかわりじゃ!まだまだ食うのじゃ!」
「そうだな!僕もおかわり!」
「俺はあと10セット貰おう!」
ハンバーガーをたらふく食べて僕達は出発、安全な道をひたすらに風を切って走り、ゴールまで辿り着いた。
「楽しかった、ショウさん、そろそろ俺は帰るとしよう。この戦士で帰るから送らなくて大丈夫だ。」
バイクで帰るの?まあ大丈夫か…鬼に金棒ってヤツだ。
ゴウケツさんは楽しそうにバイクに肉と酒を積んで帰って行った。
「ルナはどうする?」
「お主、ビーストアウトの賭けの事は覚えておるかの?」
「あぁ、僕を一日自由にできるんだっけ?忘れたよ」
「そうか、しっかり覚えているようで安心したのじゃ。ショウ、明日一日妾とデートじゃ」
ん?
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