第92話 腰痛 ドワーフ 

「ラーメン美味しかったなぁ」

あれから数日経つが依頼の連絡は無い。


僕はイルカと戯れながら暇を謳歌しているのだが。

まあヒマだよね。

こんなに色々な施設はあるが一人でやっていても中々に虚しい。


「依頼受けるか…」

しょうがない事だけど毎回重たいの多いんだよね。

でも新しい出会いとかもあるし…しっかり僕も冒険するか!


準備をしてギルドに行くと丁度ブレイズのメンバーが帰ってきたところだった。


「結構久しぶりですね、長旅だったんですか?」


「あ!ショウさん!いや長旅でも無いよ!ショウさんがギルドに顔出してないだけじゃない?」

確かに…依頼受けたら結構長旅してるのは僕の方かも。


「そう言えば武器を新調したいのだがショウさんあの剣を作ったドワーフを紹介してくれないか?あれほどの剣を打てる職人はそうそういないぞ」

シン君の事?最近会ってないし会いに行くか!何してるかな?


「ワシも久しぶりに風呂に入って腰痛を治したいわい」

シルバ爺さん結構辛そうだな…なんとかならないかな。


「私はシャンプーとリンスが切れそうで…」

無くなると焦るもんね。


「じゃあ行きますか!ドワーフの町!」

こうしていつものメンバー?でドワーフの町を目指す。もう地下室も慣れたもんだよね、ブレイズのみんなも。


「いや変わりすぎじゃないか!?」

そうでも無かった。

釣り堀で遊んで以降来てない?確かにアップデートも挟んだからなぁ…


前は徹夜で麻雀してたんだっけ?じゃあゴーカートも水族館も知らないのか。そんな前だっけ?


とりあえずビールを飲んで風呂に入ってもらう事にしてカレーを作る事にした。

しかしシルバ爺さんキツそうだったな…セグウェイで移動してるけどもうお爺さんだし…


ちょっと聞いてみるか。

僕はシャンパンを2本手に持ち叫ぶ。

「おーいサキエル!聞きたい事あんだけどぉ!」


「はいはーいなんですか?お酒の趣味?それとも男性の趣味ですか?ショウさんは私の好みの顔なので全然アリですよ!!」

僕はナシだよ、今すぐチェンジって言いたいくらい。


「エクストラヒールの効果って何?まさか若返ったり寿命伸びたりしないよな?」


「そんな事出来るわけないじゃ無いですか、削った寿命は戻りますし無理した分は治りますけど伸びたり若返ったりはしませんよ?」

ん?どういう事だ?珍しく真面目なのに話が入ってこない。


「いやもう少し分かりやすく言ってくれる?」


「いやだから、人生で無理に痛めた身体とか削ってしまった寿命は元に戻ります。でも寿命は伸びません」

そう言う事?じゃあシルバ爺さんの腰は治るけど不老不死にはならないって事か。


「分かった、はい酒。下がりなさい」


「ちょっとひどくないですか!?あ、シャンパンだ。じゃあ私はこれで!」

御神酒ってこういう感じとか言ったらすげぇ怒られるんだろうな…


まあシルバさんに教えてあげよう、かなりギリギリだけどバランスを崩すレベルのものじゃないみたいだ。

ヒール風呂をアップデートし直して僕はシルバ爺さんの元へ向かった。


「ねぇシルバさん、なんかその腰痛に思い入れとかあったりする?あと人生で無理した事を誇りに思ってたりとか」


「なんじゃ急に、若気の至りで馬鹿や無理をしたのは良い思い出じゃが誇りというまでではないかのう。」

じゃあいいか。


「実は腰とか全部治る風呂に出来るんだよね。どうします?」


「治るのか!!是非お願いしたい!!」


「爺さんやったな!最近本当に辛そうだったもんな!」

それではとエクストラヒール風呂に切り替え、しばらく浸かっていると…


「お、おぉぉ!身体が軽いわい!」

立ち上がったシルバさんは背筋がピンと伸びている、結構身長あったんだなぁ…僕くらいあるじゃん。


「俺も身体が軽くなったぞ!すごいなこれは!」

ついでにカムイさんも全快か。あんまり見た目変わらないけど。


「ショウさんや…ありがとうなぁ…世界が変わって見えるわい…懐かしい若き日の高さでまた世界を見れる…」

少し涙ぐんでる、よほど辛かったんだね。

全員でひとしきり喜んだ後僕はカレー作りに戻った。


今回のカレーは一味違う。肉の量を三倍にしてみた。多分脂がキツくならないギリギリの量だと思う。

あとはみんなが出てくるまで運転しておくか…


少ししてブレイズのメンバーが集合した。

カレーの匂いでみんなテンションが上がっているのだが…


「ちょっと爺さん何があったの!?巨大化してるよ!?」

巨大化?アカネちゃん言い方他に無かった?


「確かに大きいですね…何が…」

シルバさんは腰が完治したと説明し、腰に手を当ててビールを美味しそうに飲んでいる。


「美味いのう!今日は最高の気分じゃ!」

僕も爺さんになったらあの風呂入ってその気分を味わおう。きっと最高に美味いんだろうね。


「ショウさん!今日のカレー肉多いね!」

「すごい量の肉だな…これは楽しみだ」

食いしん坊の二人はテンションマックスといった感じだ。


みんなが食べている間に僕はドワーフの町を目指す、元気にしてるかな…

全員食べ終わり、アイスクリームを子供のように食べているところで目的地に到着した。


「着きましたよー行きましょうか」

そう言ってシン君のいる工房へと足を運んだ。


「久しぶりー、元気してる?」


「あ!ショウさん!お久しぶりです!」

「ショウさんだ!あの!シャンプーとリンスを!!」

キキちゃんはかなり久しぶりな気がする。相変わらず元気だね。


「シャンプーは後であげるよ、ちょっと知り合いの冒険者の人連れてきたんだけど」


「ショウさんのあの星空のような剣を作ったのは君かな?あそこまでとはいかないが武器を新調したいのだが…」


「お客さん連れてきてくれたんですね!僕はシンっていいます!どんな装備が良いですか?」

なんか話してる所悪いんだけど…なんかシン君とキキちゃん指輪してない?話が終わったら聞いてみよう。


カムイさんとアカネちゃんはシン君に武器の説明を受けているが値段を見てどうしようかと悩んでいる。

高いらしいもんな…僕は気にした事ないけど。


キキちゃんの手が空いたので気になってる事を聞いてみる。

「あの…その指輪って…」


「え?はい!私達結婚したんです!シンから聞いてないですか?」

やっぱりかぁ…いつもバタバタしてるからゆっくり話す機会なかったもんなぁ!いいなぁ!


聞けばあのミッドナイト・ノヴァを作って父親に認められた後にシン君がプロポーズしたらしい。

結構前じゃないか…何か結婚祝いでも…。


何か無いかとシンシアさんとシルバさんに聞いてみる。

「そうですねぇ、お祝いの品というのも別に決まっている訳ではないので…」


「必要な物をあげたら良いんじゃないかの?」

難しいな…しかしデカいシルバさん慣れないな。


「いえいえ!そんな気を使わなくても大丈夫ですよ!」

キキちゃんはそう言うけど…なにかお祝いはしたいなぁ。


「何か欲しい物ないの?必要な物とか」


「シャンプーとリンスですね!」

そんな旅行セットみたいな物でいいの…?

なにかオシャレな贈り物かぁ…。


とりあえず地下室で酒でもご馳走しながら考えるか!

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